神はサイコロを振らない第二話

日本テレビ水曜ドラマ「神はサイコロを振らない」。大石英司原作。水橋文美江脚本。櫨山裕子&内山雅博プロデュース。仲西匡&吉川慶音楽。主題歌=Ryohei feat.VERBAL(m-flo)「onelove」。小林聡美ともさかりえ主演。佐藤東弥演出。第二話。
宮崎のテレビ宮崎(フジテレビ系&日本テレビ系&テレビ朝日系)では本来これを見ることができないが、幸い、ホテルでは福岡放送(日本テレビ系)が放映されていて、これを見ることができた。
どんなに非現実的な信じ難い事態が生じようとも、現実の社会は、社会そのものが崩壊しない限り、現実であることを止めはしない。東洋航空運行管理本部の大屋本部長(岸部一徳)は大組織の幹部としての責任を全うするため粛々淡々と行動し、部下の板倉将(升毅)は指令を忠実に実行するのみ。黛ヤス子(小林聡美)の情熱を前にしても動じようとはしない。だが、黛ヤス子が非現実的に行動しているわけでもないこと云うまでもない。非現実的な現実に応じて現実的に行動しているのだ。現実に少しだけ歪みが発生したとき一部に生じた新たな現実の中で、そこに生きるほかない人々はどのように行動し、またそれの周囲に続行している旧来の現実世界の住民はどのように対処し行動すべきであるのか。それは一種の人生論に他ならない。
遺族会」代表、甲斐陽介(尾身としのり)の弟、甲斐航星(中村友也)は冷静な観想者、報告者として行動している。事件の瞬間において既にそうだった。あのとき彼は、時空の歪みに飲み込まれようとする機内の様子を観察し、カメラで撮影していた。生還したあと、不可解な説明を受けても直ぐに了解できたのは彼が大学で物理学を専攻しているからでもあるだろう。番組公式サイトによれば彼は筑波大学の学生だが、これは筑波大学が(その前身の東京高等師範学校・東京文理科大学が文学・語学・史学に秀でた学校だったにもかかわらず)一般に科学と技術の学校であると見られていることに加え、一つの道に没頭して偏りがちな学生を生み出しがちであると思い込まれていることによる設定なのだろうか。なるほど甲斐航星は学群四年生で既に物理学の世界に没頭しているかと見える。だが、そうした彼の性格が出来事の真相の究明に大きな役割を果たすのかもしれないのだ。