旅行記三

朝九時にホテルを出て十時から仕事。十一時頃に出発。夕方には長崎に到着。江戸時代以来の国際都市であることに加えて坂の多い立体的な土地にあることの故か何となく西欧の古都のような風情があって美しい。昨夜見た鹿児島には城下町の古雅と南国風の熱気との調和があったが、長崎にしても熊本にしても九州の都市には地方ならではの美しさがある。長崎の風景を少しでも探索するため、五時半にホテルに着いたあと直ぐに外出。長崎出島ワーフの脇を歩いたとき、店から聞こえてきた曲は亀梨和也の「絆」だった。長崎県美術館前から水辺の森公園を経て大浦天主堂へ。礼拝堂の姿を門外から見上げたあとオランダ通を歩いた。野口彌太郎記念美術館の重厚な洋館。さらに進めば湊公園に達した。来る二十九日から始まる長崎燈會の準備中だったが、実に華やかだった。著名人が来ていたらしく、周囲の会話によると演歌のアイドル氷川きよしだったらしいが、生憎その後姿しか見ることができなかった。残念。公園の向かい側にある長崎新地中華街の南門に入り、北へ歩いた。多くの店は既に閉店していたし、長崎燈會の提燈も消えていたが、もっと早い時間には夢のような晴れやかさがあるに相違ないと想像する。北門から出て新地橋の先のコンヴィニで長崎の地図を購入。再び中華街に入り京華園で五目麺とシュウマイで夕食。それで満足したのでホテルへ戻ることにしたが、その前に一箇所、カステラの名門、長崎文明堂総本店の前に行き、小さいながらも古く堂々とした店構えを眺めた。夜九時頃にホテルに帰着した。帰途、長崎県美術館前から出島ワーフ側へ横断歩道を渡るとき擦れ違った輸送会社のトラックには夕方に仕事で会ったばかりの輸送会社の長崎支店の方々が乗っていたらしく挨拶を受けた。驚いた。