氷壁第四話

NHK土曜ドラマ氷壁」。井上靖原案。前川洋一脚本。村松崇継音楽。主題歌=リベラ「彼方の光」。佐野元彦&青木信也チーフ・プロデューサー。土屋勝裕演出。玉木宏主演。第四話。
情なくして人間の生はない。北沢彰(山本太郎)と八代美那子(鶴田真由)への熱く篤い情に生きる奥寺恭平(玉木宏)に対し、八代哲夫(石坂浩二)と八代智之(武田真治)は情け容赦なく反撃を続けているが、そんな彼ら八代父子もまたそれぞれの情に生きてもいる。むしろ濃厚に過ぎる情念が怨念の様相をも呈している。でも彼らの作る巨大組織は、彼らのそれぞれの激しい情の全てを飲み込み、原動力として内蔵した上で全てを超越し、あくまでも己の理性のみに従って運動し始める。組織の長である八代哲夫といえども、それを止めることはできない。小さな一個の情と大きな場の論理との衝突に悲劇があるとすれば、実は八代哲夫もまた悲劇に見舞われているのだ。