仮面ライダーカブト第四話

テレビ朝日系“スーパーヒーロータイム”ドラマ「仮面ライダーカブト」。水嶋ヒロ佐藤祐基主演。第四話。
加賀美新佐藤祐基)の弟、加賀美亮(佐々木和徳)に擬態したワームを相手に、天道総司水嶋ヒロ)は仮面ライダーカブトに変身して戦闘を開始。そのとき突然の雷鳴、降り出した雨。ここにおいて超高速の戦闘=超低速の世界の映像が面白かった。無数の大粒の雨が宙に浮かんで殆ど静止を続けたまま、煌きながら空間を満たしていた。
天道総司加賀美新の名義で高級食材「松輪サバの丸特」を大量に注文、着払いの形で「Bistro la Salle」に届けさせた。日下部ひより里中唯)によると、その代金は全て加賀美の給料から天引されるとのこと。そこに妹の天道樹花(奥村夏未)を使いに遣り、天道家まで加賀美に運搬させた。乏しい収入を失った上に労働までも強いられて惨めな加賀美。こうして何時の間にか天道家に迎え入れられた加賀美に、天道樹花は興味津々の様子。「お兄ちゃんが友達連れて来たの、加賀美さんが初めてなんだから」。そうか、愛する兄に初めて友ができたことで喜んでいたのか。でも、興味の中身がそれだけでもなさそうに見えたのがさらに面白いところ。天道と日下部ひよりの会話も含め、かなり「萌え」させる描写の連続。
ところで。加賀美新の弟、亮に擬態したワームの存在には実に深く考えさせるものがある。ワームに殺害された者は、この世を去ったのちにもなおワームの中に生き続けるからだ。考えようによっては「生まれ変わる」ということでもあり得る。ワームの亮が、亮の姿で加賀美新に接近し、ワームの兄弟として一緒に生きてゆこうと呼びかけたのは、意外にもワームの中に生き続ける弟の精神の、本心からの誘いではなかったろうか。
ここで不図、藤本弘藤子不二雄)の或る漫画のことを想起する。題名さえも覚えてはいないが、昔「別冊コロコロコミック」か何か(或いは短編集の単行本か)で読んだ吸血鬼の話。吸血鬼に襲われた人は吸血鬼に変化し、地球上の人間の多くは既に吸血鬼と化していた。主人公は生き残った数少ない人間の一人として勇敢に闘い続けていたが、ついに、かつて恋人だった女に襲われて血を吸われた。だが、吸血鬼になって初めて気付いた。変身することは新世界を知ることであると。月や星の優しい光の下で永遠に生きる世界を知ることであると。…といったような話なのだが、ワームに化して生きるということにはそれに通じるものがないだろうか。