ハケンの品格第四話

日本テレビ系。水曜ドラマ「ハケンの品格」。第四話。
脚本:中園ミホ。音楽:菅野祐悟。主題歌:中島美嘉「見えない星」(作詞作曲:長瀬弘樹&編曲:羽毛田丈史ソニー・ミュージック アソシエイテッドレコーズ)。プロデューサー:櫨山裕子&内山雅博。演出:佐藤東弥。制作協力:オフィスクレッシェンド
東海林武(大泉洋)を主担当者とするS&F営業部とロシア企業との重要な商談が大いに難航していたとき、大前春子(篠原涼子)は卓絶のロシア語会話術と豪腕の交渉力によってその話を一分間で成立させてしまった。しかし大前春子は何を主張して相手を説得したのだろうか。字幕がなかったのでロシア語を解さない者には解せなかった。
何時間かけても平行線のままだった商談を瞬時にまとめるべく大前春子が立ち上がった理由は、会社のために奉公したかったからでもなければ東海林武を助けたかったからでもなく、あくまでも定時に職場を退出したかったから。小さな権利を守るために組織全体に迷惑をかけるのではなく、逆に莫大な利益をもたらしたのだから凄い。この点で森美雪(加藤あい)とは正反対なのだ。しかし己の権利を守るためには己の責任を果たさなければならないということが世に普遍的な法であるなら、交渉を失敗させるわけにはゆかない状況下、その交渉を止めさせるためにはそれを成功させる以外に選択肢がなかったのは間違いない。大前春子はそうした論理に従って行動したのだ。東海林武が組織に情を欲しているのに対し、大前春子はどこまでも権利と義務との厳正な交換を求めていると云えるだろう。全ての正社員がそのように心得て働かなければならないはずだ。
森美雪は社内の書類の保管庫の鍵を携えたまま帰宅してしまっていた。愚かなことだが、似たような失敗をした者が吾が同僚諸氏中に幾人も実在するのには呆れ果てる。そしてそのような致命的な失敗をした者は大概、どういうわけか反省することも謝罪することもない。その点、森美雪は反省しただけでも立派なものではないか。
登場人物(出演者):スーパー派遣社員=大前春子(篠原涼子)。派遣社員=森美雪23歳(加藤あい)/食品会社S&F営業部マーケティング課主任=里中賢介30歳(小泉孝太郎)/S&F営業部販売二課主任=東海林武32歳(大泉洋)。S&F営業部マーケティング課(新入社員)=浅野務23歳(勝地涼)/S&F営業部販売二課=黒岩匡子30歳(板谷由夏)/人材派遣会社「ハケンライフ」マネージャー=一ツ木慎也30歳(安田顕)/タブラオ「カンタンテ」フラメンコギタリスト=天谷リュート20歳(城田優D-BOYS])/近耕作30歳(上地雄輔)島田香(入山法子)竹井瞳(清水由紀)。ナレーション(田口トモロヲ)。S&F営業部マーケティング課嘱託社員=小笠原繁62歳(小松政夫)。タブラオ「カンタンテ」ママ=天谷眉子58歳(白川由美)。S&F営業部長=霧島敏郎60歳(松方弘樹)。