渡る世間は鬼ばかり第四十六話

TBS系。「橋田寿賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。作:橋田寿賀子。音楽:羽田健太郎。ナレーション:石坂浩二。プロデューサー:石井ふく子。演出:山崎恆成。第八部第四十六回。
岡倉葉子(野村真美)と大原透(徳重聡)との結婚を祝福するため岡倉家において挙行された岡倉大吉(宇津井健)主催による結婚披露の小さな祝宴の席上、野田弥生(長山藍子)は、一人娘あかり(山辺有紀)の浅田和久(深江卓次[石原軍団])との再婚について、敢えて強行に反対し続けている所以を述べた。上手くゆくとは思えないから…というのがその理由で、やはり明確に説明できるような理由は持ち合わせていなかったようだが、その判断の正しさについて自信満々であることの根拠は、それなりに明確にされた。野田あかりの過去の結婚生活に関し、野田良(前田吟)が当初から大賛成してその失敗の可能性を全く予測できなかったのに対し、野田弥生は充分に予測できていて、ゆえに当初からその縁談には反対できていたという一点がその自信の根拠なのだ。換言すれば、一人娘の前回の結婚に関し、娘自身も父親も判断力を欠いていたのに対し、母である自分だけは正しく判断できたのだから、今回の結婚に関しても同じことが云えるはずだというのだ。これまた論理的ではないが、迫力はないわけでもない。今回の結婚相手の浅田和久がどういう人物であるかに関係なく、少なくとも野田あかりがどういう人物であるかを冷静に考えるなら、今回の結婚も上手くゆくとは思えない。相手がどんな人物であろうとも上手くはゆかないことだろう。相手の問題ではなく、あかりの側の問題なのだ。野田弥生の真意がそこにあるなら、愛娘の人間性を冷徹に見抜いた母の厳しさに感服し、大いに納得せざるを得ない。