ハケンの品格第九話

日本テレビ系。水曜ドラマ「ハケンの品格」。第九話。
脚本:中園ミホ。音楽:菅野祐悟。主題歌:中島美嘉「見えない星」(作詞作曲:長瀬弘樹&編曲:羽毛田丈史ソニー・ミュージック アソシエイテッドレコーズ)。プロデューサー:櫨山裕子&内山雅博。演出:吉野洋。制作協力:オフィスクレッシェンド
大前春子(篠原涼子)が何時ものマントを身に纏い、警察犬候補だった犬「くるくる」を連れて「くるくるパーマ」こと東海林武(大泉洋)を探しに街へ出た姿は、英国紳士シャーロック・ホームズのように颯爽としていた。
来る四月から食品会社S&Fの正社員となる予定の「コネ入社」の馬鹿な若者、那須田透(斉藤祥太)の、世間知らずの言動に接したことで森美雪(加藤あい)は会社と社会の不公平、理不尽を改めて思い知らされていた。大前春子は無論それに対して、悔しがる必要なんかないことを説いた。入社試験なんて博打のサイコロみたいなもの、就職できた者は一生その会社に縛られ、就職できなかった者にも別の道があること、ハケンには家柄も学歴も偏差値も関係ないことを説いた。なるほど。だが、本当にそうだろうか。多分、大前春子のこの説は、人生を自ら徒に暗くしないための、しかし同時に人生を無駄にしないための知恵なのだ。世間の不公平、不条理は現実には確実に存在するが、それに憤慨しても幸福にはなれない。むしろ、そうした不条理を冷徹に見詰めて、見抜いて、それに飲み込まれないように受け止めた上で、それを潜り抜け、乗り越えてゆくことが必要なのだろう。これは実は派遣社員ばかりか正社員にとっても必要なことなのだと思う。