花より男子2第十話

TBS系。金曜ドラマ花より男子2」。第十話。
原作:神尾葉子集英社マーガレットコミックス)。脚本:サタケミキオ。音楽:山下康介。主題歌:嵐「Love so sweet」(J STORM)。制作:TBSテレビ。演出:坪井敏雄。
一般に、誰にでも愛想よく誰とでも直ぐ仲よくなれるような人間には大いに気を付けなければならない。そんな奴は外面のよいだけの人物であるかもしれない。しかるに外面のよいだけの人物は内面において先ず間違いなく醜悪だからだ。中島海(戸田恵梨香)がそうした人物であるのは間違いない。病院中の全ての人々を味方に付けていた中島海は、道明寺司松本潤)が大財閥の御曹司であり、しかも記憶の最も大切な一部を喪失した状態にあることを完璧に把握していたはずだ。用意周到に接近しつつ、言葉巧みに牧野つくし(井上真央)を遠ざけた。邪悪な本質を微塵も窺わせない軽やかな笑顔こそが真に恐ろしいと知らなければならない。だが、それ以上に恐ろしいことは、一般に、そうした恐ろしい人物の本質は、大概の善良な人々には容易には見抜けないのだということなのだ。実際、美作あきら(阿部力)にも西門総二郎(松田翔太)にも、そして牧野つくしにも、真実が見えていなかった。真実を鋭く正しく見抜いていたのは唯一、憂いと孤独の人、花沢類(小栗旬)一人だけだった。無理に思い出さなくてよい!と甘い言葉で近付きながらその実は最も大切な記憶を完全に失わせようとするとは、凍て付く程に寒々しく恐ろしい企てだが、実のところ悪とは甘さに隠れて近付くものなのだ。