仮面ライダー電王第八話

テレビ朝日系。“スーパーヒーロータイム”「仮面ライダー電王」。主演:佐藤健。脚本:小林靖子。監督:石田秀範。第八話「哀メロディ・愛メモリー」。
野上良太郎佐藤健)が電王に変身して敵イマジン相手に闘うとき、モモタロス(声:関俊彦)とウラタロス(声:遊佐浩二)何れの力を借りるのか?というのはモモタロスにとってもウラタロスにとっても(そして視聴者にとっても)関心ある問題だが、良太郎は今回、場面に応じて選び分けてみせた。敵をからかうかのような気取ったウラタロスの闘い方と、力と速度で勢いに任せて攻めまくるモモタロスの闘い方とを立て続けに繰り出して面白かった。
ウラタロスの本領が正義のために発揮されたのも見落とせない。俗に嘘も方便と云うが、多少の嘘を云ってでも人を励まし、気分よくさせるということは時には必要なのだ。
良太郎の「不運」が久々に凄まじい連続で描かれた。三輪車と衝突したり、土手を転がり落ちたり、草野球の球やテニスの球やサッカーの球やアメリカンフットボールの球が当ったり。挙句、トラックに轢かれそうになったところを優美(栗原瞳)に救われたのは幸運だった。
優美は、結婚する予定だった友也(平塚真介)を今なお愛しているからこそ、かつての愛の想い出を全て忘れてしまいたいと願望したわけだが、その願いをかなえることを勝手に「契約」した邪悪なクロウイマジンは、二人の想い出のオルゴール・ペンダントの曲目であるヴィヴァルディの協奏曲集「和声と創意の試み」(「四季」)の第一番「春」の第一楽章を奏でるCDやレイディオや演奏者を悉く消し去ることで達成しようとした。無論ヴィヴァルディの曲を全て消去し得たとしても優美の想い出が消えるわけではない。それどころか当の友也が、良太郎の姉、野上愛理(松本若菜)の喫茶店ミルク・ディッパーに立て籠もっていた間、想い出のオルゴールと同じ型のものを半年かけて作った新品二つ、大切に包んで持っていたわけだから、クロウイマジンが優美のペンダントのオルゴールを取り上げて破壊して契約完了を宣言した時点でも実際には契約が全く完了していなかったのだ。詐欺ではないか。この点でもイマジンは正義に反していたと云わなければならない。