月九ドラマ東京タワー最終回

フジテレビ系。月九ドラマ「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。第十一話=最終回。
原作:リリー・フランキー『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(扶桑社刊)。脚本:大島里美。音楽:澤野弘之河野伸。主題歌:コブクロ「蕾」(ワーナーミュージック・ジャパン)。プロデューサー:中野利幸。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:久保田哲史。
中川栄子(倍賞美津子)の葬式の賑やかさ、楽しさが印象深かった。亡き栄子を心より慕う様々な人々が多く参集して、葬式なのに、とても陽気な笑顔に満ちていた。しかし本来、葬式とはそうあるべきなのかもしれない。
この物語に登場した様々な魅力的な人物の中で、私的に最も心惹かれたのは鳴沢一(平岡祐太)だった。中山雅也(速水もこみち)の美術大学在学時以来の親友であり数年来の仕事仲間でもある彼は、出版社に勤務して編集者として多忙を極める中、中山雅也に大きな仕事を回しながら、同時に中山雅也のマネイジャーに近いことまでも引き受けている。佐々木まなみ(香椎由宇)と中山雅也との間を取り持とうとしたことさえあった。鳴沢一の無償の友情なくしては中山雅也の今日はなかったろう。
今宵の最終話で描かれた鳴沢一の言動の中で最も印象深かったのは、藤本香苗(浅田美代子)と一緒に最後の旅行に出かけた中山栄子から中山雅也に電話があったときの彼の表情だった。旅行先からの報告の電話に笑顔になっていた中山雅也の様子を見たときの鳴沢一の笑顔は、(顰蹙を買うのも恐れず敢えて云えば)まるで恋人のようだった。