大河ドラマ風林火山第二十一話

NHK大河ドラマ風林火山」。原作:井上靖。脚本:大森寿美男。音楽:千住明。主演:内野聖陽。演出:田中健二。第二十一話「消えた姫」。
山本勘助内野聖陽)の愛のロマンス。だが、由布姫(柴本幸)への彼の思いは主君=武田晴信市川亀治郎)への思いに伴われてこそ成り立ち得る。姫を守るのは晴信であり、しかるに晴信を守るのは勘助であるということを勘助は信じている。晴信は天下人になるべき人であり、勘助が晴信に天下を取らせるのであるということを勘助は信じているのだ。
姫に関する勘助の計画が思い通りには進んでいなかったことで激怒した老臣の諸角虎定(加藤武)。勘助を軍師に推挙したことを悔んでいた。やはり諸角のあの提案は、単なる陰謀ではなく、勘助を軍師に相応しい人材として本気で評価してのことだったのだ。諸角を武田信繁嘉島典俊)が宥めていた様子は、面倒を見る側と見られる側との関係が今や逆転しつつあることを存分に物語っていて味わい深かった。少年が成長して大人の武将となれば、臣は老いてゆくほかないのだ。