旅行記一

朝七時三十五分に松山空港を発し東京国際空港へ。京急線で品川駅へ。有楽町駅から日比谷駅まで歩き、そこから千代田線で乃木坂駅へ。国立新美術館で開催中の大展覧会「日展一〇〇年」を見物。日本の近代美術史上の傑作が並んでいて、圧倒された。私的に特に楽しんだのは、日本画で云えば村上華岳「二月乃頃」、寺崎広業「高山清秋」、冨田渓仙「沈竈・容膝」、平福百穂七面鳥」、川合玉堂「暮るる山家」、堂本印象「訶梨帝母」、金島桂華「蓮池」、小野竹喬「風浪」、結城素明「炭窯」等。荒木十畝「窈冥」の上手さには感心した。安田靫彦孫子勒姫兵」や鏑木清方三遊亭円朝像」、松岡映丘「右大臣実朝」は流石に美しかった。油画の和田三造「南風」や中沢弘光「夏」、水彩画の石井柏亭「滞船」のように夏を表現した作品や、海を描いて夏を連想させる作品が多かったのも季節感を感じさせて面白かったが、中で最も魅力的だったのは恩地孝四郎の「岩間」。ヌードも多かったが、中で最も魅力的だったのは北村西望「アダム」。美しく引き締まった身体の若い男子のしなやかな筋肉の動的な表現が見事だった。広い背中と尻の形も美しくて一寸興奮した。朝十時半頃から昼二時頃まで休みなく一気に観照したので疲れていたし、朝五時頃にパン一個を食った以外は何も食っていなかったので空腹だったが、そのまま引き続き、同じ六本木にあるサントリー美術館まで歩いて開館記念展二「水と生きる」を見物。英一蝶の「田園風俗図屏風」がよかった。「京大坂図屏風」みたいなのは確実に楽しめる作品と云える。三時頃に国立新美術館へ戻り、乃木坂駅から表参道駅九段下駅を経て竹橋駅へ。夕方四時頃から東京国立近代美術館で所蔵品展と小企画展「崩壊感覚」を観照。この「崩壊感覚」は好企画だと思った。五時の少し前に館を出て毎日新聞ビル内の食堂で本日初のまともな食事を取ってから竹橋駅を出発し、飯田橋と四谷を経て新宿三丁目駅へ。新宿御苑前駅で降りるべきところを間違えた。六時頃にホテルに入り、七時半頃に外出して世界堂と近所のコンヴィニで買い物をしてホテルへ戻り、疲れて寝てしまい、目を覚ましたのは早朝三時頃。