あしたの、喜多善男第五話

フジテレビ系(関西テレビ)。「あしたの、喜多善男〜世界一不運な男の、奇跡の11日間〜」。
原案:島田雅彦『自由死刑』。脚本:飯田譲治。音楽:小曽根真。主題歌:山崎まさよし「真夜中のBoon Boon」。第五話。演出:下山天
宵町しのぶ(吉高由里子)の「誘拐」に喜多善男(小日向文世)の関与しているだろうことを感じた矢代平太(松田龍平)は、彼の行き先と想定される箱根の温泉へ急行した。喜多と出会ってから四日目の夜のこと。その翌朝。温泉旅館の一室で目覚めた彼の、傍で寝ていたのは多分、殺し屋の片山(温水洋一)だろう。どういうことか?どうやら、その旅館には仮眠室があり、平太も片山もそこを宿泊室の代わりに利用していたのか。同じく喜多を追跡して箱根に来ていた杉本マサル(生瀬勝久)と与田良一(丸山智己)との会話を聴くに、与田もまた、喜多の宿泊する箱根湯本温泉「ホテル河鹿荘」の仮眠室を宿泊所にしていたようだ。しかし同所の公式サイト(http://www.kajikaso.co.jp/)にある館内の図面を見ても仮眠室というのは見当たらない。
喜多の中学校時代の恩師、佐藤真太郎(梅野泰靖)が登場。どこかで見た顔だが、誰か?と暫し考えて思い出した。「仮面ライダーカブト」における神代剣の執事ではないか。
佐藤の妻(市川千恵子)は、夫が昔の教え子を相手に明るく語るのを聞きながら、時々微妙な表情になっていた。かつては教育者として尊敬されてもいた夫が、吾が子の殺人による投獄という事実によって完全に自信を失い、心身ともに衰えてしまったのを耐え難く不憫に感じるからだろう。もはや己の人生に誇りを抱くことさえできない現状の夫が、死を決意した教え子を前に、敢えて幸福について語り、生きることの素晴らしさを強調することの辛さを感じていたかもしれないし、他方、教育者としての自信を失いながらもなお人生を教育に捧げた者としての誇りを糧に何とか生きようとしている夫が、大問題を抱えた苦悩の教え子を前に、改めて教育者としての人生に自信を取り戻しつつあるのを目の当たりにして、嬉しく思ったかもしれない。