笑っていいとも春の祭典

フジテレビ系。「笑っていいとも!2008春の祭典スペシャル」。二時間半のこの番組を通して最も強く印象に残ったのは溝端淳平だった。彼は五月三日より始まる土曜の深夜ドラマ「ハチワンダイバー」で棋士を演じるということで今宵は紋付袴での出演。それが似合っていた。かなり緊張していた様子で、その大舞台に慣れていない感じも面白かった。この番組に月九ドラマ主演俳優として木村拓哉が登場した場合、必ずやキムタク一人を輝かせるべく番組全体が総力を結集するような展開になってしまうが、それだからこそ逆に、溝端淳平みたいな新人の、素材そのままの魅力が際立って光彩を放つことにもなる。そこが楽しい。
司会の中居正広がその辺の面白さを見落とさない点も、何時もながら興味深い。芸能人同士の酒席等の交際のことが話題になった際、まだ十八歳で酒を飲めない溝端淳平に対し、中居は、「お酒のみに行くってことじゃないもんね?」「不二家行こう!みたいなことだよね?」と云い、これに溝端が「そうですね、パフェを食べようって」と呼応したのを受けて、さらに「みんなでチョコレイトパフェ食いに行こうぜ!みたいな」と付け加えた。この遣り取りを通して中居の作り上げた溝端淳平イメージは現実を反映してはいないに相違ないが、このイメージは、新人俳優としての彼を一段と面白く魅力的に見せるのに有効だったと思う。若い男子俳優や男子アイドルを引き立て盛り立てることにおいて中居正広は上手い。しかも、そのことが延いては中居自身のアニキ性をも強調してみせるのだ。流石だ。感心する。
今回このドラマを見るにあたって楽しみにしていたことの一つは、水嶋ヒロが今回また「しっぱいおっぱい」みたいな変な言葉を口走らないかどうか?という点にあったのだが、その点では期待外れだった。火曜九時ドラマ「絶対彼氏」の出演者としては水嶋ヒロの兄貴分とも云うべき主演俳優の速水もこみちが殆ど常に前面に出ていたため、水嶋どころか中村俊介にさえ、出る幕がないに等しかった。
他方、木村拓哉は今回の月九ドラマ「CHANGE」に関しては制作者の姿勢に大いに不満を抱いているようなことを述べていた。冗談で云ったのかもしれないが、冗談には聞こえない位、表情と口調が怖かった。と云うか、本気で不満を抱いているようにしか見えなかった。しかし彼に関して最も気になったのは髪型が変で格好悪かったこと。司会のタモリによるこの番組恒例「タモリ法螺貝」の中で「髪型がチェンジ!」とタモリがネタ化したのが絶妙だった。
中居正広が、ジャニーズにおける自身の後輩、平成生まれの少年アイドル集団「Hey!Say!JUMP」という団体名をネタとして気に入っていることは、本年一月二十四日放送TBS系「うたばん」によっても明らかだったが、今宵もこのネタが登場した。中村俊介木村拓哉の私生活に関し、面倒見のよさそうな「木村さん」はジャニーズJr.の子たちに食事を盛大に奢っているのではないか?との「見解」を述べたところ、中居正広は「Hey!Say!JUMPと木村拓哉、いいですね、見てみたいですね」と面白がっていた。しかし、ここで真に面白いのはむしろ中村俊介が大真面目にジャニーズJr.(「ジュニアの方」)に言及していたところだったとも思う。かつて彼は深夜番組における森田剛を絶賛していたことがあるが、意外にジャニーズ好きなのだろうか。