K-SK南圭介写真集について

先日Amazon.co.jpで注文しておいた書籍&DVD群が到着。その内の一冊、『K-SK 南圭介写真集』(彩音館出版)については、かなり凄い内容であるとの評価をインターネット上に見かけていたのだが、なるほど、被写体としての南圭介への写真家の迫り方、捉え方、そしてその見せ方は観照者に衝撃を与えずにはいない。意外の、凝った美しさのある画像集なのだ。
全体を貫く構想が恐らくは「育ちの良い心身ともに健康な男子へのエロティクな視線」にあるだろうことは想像に難くない。また、ここでは二十世紀の著名な美術評論家ケネス・クラークの「ザ・ヌード」論を踏まえ、「ヌードは単なる裸とは違う」というテーゼを前提してみるのが有効だろう。この写真集における南圭介は概ね着衣で、時折さり気なく脱いでいるだけ…とさえ云えなくもないのに、着衣の中にも微かに肌を垣間見せたり身体の形体を浮かび上がらせたりする仕方の巧みさがあって、全体の構想と場面毎の描写によって生み出される身体の印象のエロティクな衝撃は、大胆なだけの裸によっては達成できない性質のものと評してよい。
これを手がけた写真家の名はAlex Won。彼の公式サイトを見るに、基本的に女子アイドル等のセクシー度の高い写真を撮るのを得意とする人のように見受けるが、男子に対しても同じ眼を向けることができるのは素晴らしい。この写真集に見る南圭介の美は、構想力と技を備えた写真家の手になる静止画によってこそ可能なもの、動画では捉え難いものと想像される。

K‐SK―南圭介写真集
南圭介フォトブック「Ga Sai Gon」
ザ・ヌード―裸体芸術論・理想的形態の研究
ザ・ヌード (ちくま学芸文庫)