雑感

専門家に聴けば何でも直ぐに教えてもらえて当然であると期待している素人もいれば、専門家よりも優れた判断をなし得るのは己であると勝手に自惚れている素人もいる。後者は、専門家に教えてもらうことを嫌い、むしろ知の材料だけを得たいと考える傾向にある。専門家の抱え込んでいる知の材料を横取りすることができれば己は専門家を軽く超えることができるはずだと過信している。知の材料を得ることがそもそも訓練を要する作業であるということを、考えたこともないのだろう。前者には色々説明し甲斐もあるが、後者はそもそも聴く耳を持ち合わせないので話にもならない。知を安易に得ようとする点では前者も後者も同罪だろうが、知を持つ者とは知を得るために日々訓練している者であるということを想像することさえできていない点で後者は真に救いようもなく愚かしい。しかるにそういう人は意外に多い。