清荒神清澄寺鉄斎美術館の開館三十五周年記念展前期展

朝九時頃に外出。JR松山駅から岡山駅を経て新大阪駅に着いたのは昼一時頃。昼食は岡山駅で購入した弁当を新幹線内で。大阪駅から徒歩で阪急梅田駅へ。清荒神駅には二時頃に到着。清荒神清澄寺へ参拝したのち、鉄斎美術館で開催中の開館三十五周年記念特別展を鑑賞。
この展覧会は前期展「鉄斎の富士」と後期展「鉄斎-豊潤の色彩」の二本の企画から成り、実は今日が前期展の最終日。だからこそ何としても今日中に見に来たかったのだ。
富岡鉄斎は富士山を云わば理想郷と見て、その絵を数多く描いたが、今回の展覧会には、富士山の遠景と山頂の近景とを対比させて描いた傑作中の傑作として知られる鉄斎美術館蔵の「富士山図」六曲屏風一双はもちろんのこと、京都国立近代美術館蔵の「富士遠望図・寒霞渓図」六曲屏風一双や、京都市美術館蔵の画巻「不尽山画叢」、辰馬考古資料館蔵「登嶽図巻」、車折神社の二幅等も出品されていた。しかも、鉄斎の富士山図を考える際には江戸時代の池大雅の登嶽のことを踏まえる必要があるが、今回は、池大雅の登嶽の様子を描いた「三老登嶽図」のほか、鉄斎による池大雅についての研究成果の集大成「大雅逸事巻」も並んだ。和菓子の老舗として有名な虎屋の主人、黒川魁亭に関する資料中の、富士山に因んだものや、さらにはその一環の、諏訪蘇山が造って鉄斎が絵付をした「富士山形香炉」一基も展示された。鉄斎旧蔵の古画や浮世絵、鉄斎自筆の筆録や「雪舟逸事巻」も極めて興味深い。まさしく「鉄斎の富士」展覧会の決定版と形容するに相応しい内容だった。
後期展「鉄斎-豊潤の色彩」は四月十四日から始まって、五月九日まで開催されるが、これには、完全な形では滅多に見ることのできない辰馬考古資料館蔵の重要文化財阿倍仲麻呂明州望月図・円通大師呉門隠栖図」六曲屏風一双のほか、京都国立博物館蔵「蓬莱仙境図・武陵桃源図」六曲屏風一双や奈良市蔵「月瀬図巻」、鉄斎美術館蔵「群僊集会図」等が出る。何としても見に行こう。
閉館時間の四時半に館を出て山を降りて清荒神駅へ。阪急梅田駅へ戻り、駅の食堂街にある洋食店で早めの夕食。JR大阪駅から新大阪駅岡山駅を経て松山駅へ戻ったのは深夜十一時二十七分。移動中には読書を進めたが、松山駅へ到着する二三十分前には家から持参した書二冊とも読み終えてしまった。