NHKみんなでニホンGO-超パネエ問題

夜十時からのNHK総合「みんなでニホンGO!」の第四回。
現今流行の語「超」は、近代以降三度も流行したことがあるとか。一度目は明治期、「超ド級」という形での流行。二度目は昭和戦後、英語「SUPER」の訳語としての流行。その発信源は国際基督教大学学生寮にあったのではないかとの説も述べられた。そして三度目が現在。興味深いのは、一度目の流行のときの「超ド級」というのが、戦艦ドレッドノート号に対する驚嘆から、それを超える戦艦を作りたいとの願望が生じて、唱えられるに至ったというところ。なるほど、確かに明治期の人々は外国の固有名詞を凄まじく略する傾向にあったのだ(例えば、フェノロサをフ氏と云う等)。
もっと面白かったのは、現今の若者語として「パネエ」を取り上げた際、この番組の収録の会場に来ていた大勢の本物の若者たちは実際には(少なくとも現在は)「パネエ」なんて使用していなかったという事実。既に古いらしい。流行は目まぐるしく変化するものであるから、テレヴィが取り上げる頃には既に流行は終わっているのだ…ということもあるのかもしれないが、むしろ、テレヴィが面白おかしく取り上げるような奇妙な「若者文化」というようなものは実際には大概の若者にとっても特殊な事例でしかないのだ…ということもないとは云えないだろう。なお、この番組が今宵この語を取り上げた趣旨は、現代の「ハヒフヘホ」は平安時代には「ファフィフフェフォ」、奈良時代には「パピプペポ」と発音されていたという説に基づき、「パネエ」という語は奈良時代の日本語に近いのではないかという見解を提起することにあったようだ。だが、この見解は成り立たない。なぜなら「ハヒフヘホ」が「パピプペポ」と発音されていたことと「中途半端なものではない」の意を「パネエ」と表現することとの間には何の繋がりもないからだ。