旅行記一京都国立博物館長谷川等伯展

旅行記一。
朝九時四十五分頃に外出。十時二十分頃にJR松山駅を発って岡山駅を経由して新大阪へ着いたのは昼二時半。途中、岡山駅で駅弁を購入して新幹線で遅めの昼食。三時の少し前には阪急梅田駅のホテルへ入り、少しだけ休憩したあと、阪急電車で京都の河原町へ。四時十六分には京都国立博物館へ到着。館の門にある唐船屋のオムハヤシで早めの夕食を摂ったあと、現在開催中の展覧会「没後400年 長谷川等伯」を見物した。ちなみに入場までの待ち時間は約三十分間。
ここ京都国立博物館の本館は、東京国立博物館の平成館に比べると流石に狭いこともあって会場内は凄まじい大混雑で、もちろん思うようには観照できなかったものの、主なものについては概ね見ることを得たので満足しておかなければならないだろう。水墨画の傑作である国宝「松林図屏風」六曲一双(東京国立博物館蔵)はもちろん素晴らしかったが、私的には、水墨「竹鶴図屏風」六曲一双(出光美術館蔵)における月夜の竹林の奥行、深さと、草叢の中に寝ている鶴の姿を特に気に入った。この鶴は、信じ難い程に微かにしか描かれていないのに、柔らかくも堅固な存在感がある。驚嘆せざるを得ない。重要文化財「波濤図」六幅(禅林寺蔵)の、渦巻く海波の流麗な曲線と、波間に浮かんでいる岩の切れ味鋭い直線との形作る心地よさは今さら云うまでもないが、新鮮味にかけては、金碧画「萩芒図屏風」六曲一双(相国寺蔵)も勝るとも劣らない。昭和初期の土田麦僊は多分こういう感じの絵を描きたかったのだろう…と思ってしまった。
博物館を出たのは夜七時頃。川端通の夜景を眺めながら歩いて阪急電車河原町から梅田へ急行。夜九時の少し前にホテルに戻った。