旅行記一

旅行記一。
朝十時四十分頃に居所を出て松山空港へ。十一時半に松山空港を発って、昼一時頃に東京国際空港に到着。明後日の朝九時から東京で仕事の予定あり、明日からは東京へ出張をしなければならなかったところ、本日は休日であるので一日早めに現地入りをした次第。羽田空港から東京モノレールで浜松町へ行き、JR山手線へ乗り換えて上野駅で降車し、昼食後、駅に近いホテルへ。まだ二時半頃だったものの、ホテル側の厚意により宿泊室へ入ることを得た。少し休憩して外出。
上野駅を発って乗り換え一回を経て某駅へ。歩くこと数分後、某寺に至り、江戸時代の松平隠岐守画師等の墓所を探索。しかるに十分間も二十分間も見て回っても、著名な狩野家表画師の墓のほかは見付けることを得ず、弱っていたところ御住職と思しい方から「御墓を御探しか?」と呼び止められ、目当ての家の名を伝えたところ、昭和の戦後までは確かに当の墓はあったが、その家は明治期には既に断絶していたらしく、親戚にあたると云う別姓の家の方が供養の負担の軽減のため望んで合葬になさったとか。その墓を案内してくださった。その別姓の親戚の家の現在の御当主も確か殆ど同業と云える業種で活動しておられるはずであるとのことだったので、現在の御当主を御紹介くださるよう申し込もうとしたものの、御住職は来客を待たせてあり急ぎ戻らなければならぬと仰せられて大層な速度で戻ってしまわれたので名刺を渡すことさえもできなかったのは無念。後日また出直すべきか。
こうして何となく物足りぬ思いのまま寺を出たが、そのとき、夕方四時頃。急行すれば六本木の国立新美術館を軽く見物する程度の時間の余裕はあるだろうと判断し、大急ぎ同館へ移動して、現在開催中の、東京国立近代美術館の企画による現代陶芸の展覧会「ルーシー・リー展」を眺めた。松山において招待券を偶々入手し得たのを忘れずに携えてきていたので有効活用した次第。一通り見終えたあと地下の喫茶店のアイスカフェラッテとチョコレイト二種で休憩。売店になぜか「ドラえもん」傑作選があったので少し立ち読み、懐かしんだ。閉館十五分前にあたる五時四十五分頃に館を退出して乃木坂駅から日比谷駅、有楽町駅を経て上野へ戻り、カレー店で夕食を摂って少し買物をして、夜七時をやや過ぎた頃にホテルへ帰着。