仮面ライダーW第三十八話

東映仮面ライダーW(ダブル)」。
第三十八話「来訪者X/ミュージアムの名のもとに」。
脚本:長谷川圭一。監督:諸田敏。
新たな事実が提出され、急展開があった。秘密結社ミュージアムの研究開発事業に対する出資者として財団Xが登場した。財団Xはミュージアムの事業に遅滞の認められることを問題化しているが、真の狙いが園咲家の後継者問題に乗じてその分裂を図ることにあるのは明白だ。「恐怖の帝王」と称されるミュージアム総帥の園咲琉兵衛(寺田農)が、悪人であるにもかかわらず単なる悪人とは見えない様子でもあったのは、ことによると、このような上位の機関との契約関係によるものではなかったろうか。出資者が悪事の推進を要求する中、ミュージアムがそれとはやや異なった目的をも抱いて事業を展開している可能性もなくはないからだ。これまで自由気侭に生きてきた次女の園咲若菜(飛鳥凛)がここに至って瞬時にミュージアムの継承を受諾したのも、その辺の事情によるものではないかとも想像されよう。
財団Xの代官、加頭順(コン・テユ)は、園咲琉兵衛との会話の中で、出資先は他にもあると述べていた。これは一体どういうことか。ミュージアムのような類の組織が他にもあるという意味にも解され得るが、そのようなものは今のところ劇中には登場していない。既に劇中に登場した人や団体の中で該当者を探すなら、むしろ園咲家から追放されたばかりの長女、園咲冴子(生井亜実)を想定すべきだろう。出資先は他にもあるのだ!と云って恫喝することで園咲琉兵衛に圧力をかけつつ、同時に、園咲冴子に「出資」をして園咲家を弱体化させることによってミュージアムを乗っ取ることを企てているのではないだろうか。
鳴海探偵事務所にも重大な事件があった。まるでディケイド鳴滝のような恰好をしてミュージアムから逃れ、左翔太郎(桐山漣)を仮面ライダーと知った上で依頼人として訪ねてきた山城博士(中西良太)が、亡くなる直前、云わば遺言として、フィリップ(菅田将暉)の本名が「園咲來人」であることを告白したのだ。
秘密結社ミュージアムの「使命」を自ら全て引き受けることを自ら「決断」した園咲若菜は、かつての最愛の弟「來人」その人に他ならなかったフィリップに対して、今、何を思っているのだろうか。
ところで、財団Xの加頭順を演じるコン・テユは本名「孔大維」で、孔子の子孫の一員であるということを今wikipediaで知った。