ヤンキー君とメガネちゃん第八話

TBS系。金曜ドラマヤンキー君とメガネちゃん」第八話。
第一話以来、劇中で盛んに連発されてきた品川大地(成宮寛貴)の口癖「ウゼエ…」は、敵であれ友であれ、執拗に付きまとってきて放っておいてはくれない連中の鬱陶しさを形容する語だが、今宵は、「ウゼエ」と云われる鬱陶しさが麗しいものであると表現された。これは実は愛情の表現の一種だったのかもしれない。
品川大地と彼の鬱陶しい(「ウゼエ」)仲間たちの面白いところは、自分自身のことについては大して自信がなくて、何事も早くに諦めてしまう癖に、仲間が自信を失ったり希望を捨てたりすることを認めないところにあると云えるかもしれない。品川大地は、千葉星矢(小柳友)が法律事務所を経営する父の期待に応えるために宇宙工学への夢を諦めようとしているのを見ては苛立たざるを得なかったが、反面、品川大地自身も、父のあとを継いで開業医になりたいと夢見ながらも、父からはそのようには期待されていないのではないかと恐れ、また父から期待されている医学生の姉への遠慮もあって、学業への意欲さえも喪失してしまっていて、千葉星矢にはそれが歯痒い。だから千葉星矢が自身を奮い立たせて夢を持ち直し、己の本当の志を表明して父親にもそれを主張することを決意したとき、品川大地も医者を志していることを父の宙太(古田新太)の前で、小声で呟くように自信なさげながらも宣言することができた。「なぜなら友とは第二の自己に他ならないからだ」(heteros gar autos ho philos estin)[アリストテレース『ニコマコス倫理学』1170b6-7]。
前半、千葉星矢がどういうわけか急に品川大地の家に押しかけ、一泊することにもなって、そこで家事を手伝って品川家の母や姉から歓迎され感謝される千葉星矢の優等生振りと、そんな友の前でも一向に構わず何時ものように怠惰にダラダラ過ごし続ける品川大地の対比が面白かったが、それが後半における進路の決意の熱血ドラマへ繋がった。