ヤンキー君とメガネちゃん第九話-文化祭と混沌

TBS系。金曜ドラマヤンキー君とメガネちゃん」第九話。
文化祭という制度を持たなかった紋白高等学校で、品川大地(成宮寛貴)と足立花(仲里依紗)の率いる生徒会は、初の文化祭「紋白祭」の実現に漕ぎ付けた。そしてその文化祭における学級別の出し物としては、彼等の属する学級は、ライフワークとして妖怪を研究していると云うゲゲゲの足立花の研究成果に基づいて、オバケ屋敷を拵えた。
学園ドラマにおける文化祭はドラマにおける華であり、これを楽しく賑やかに描くことを得ればドラマ自体も楽しく賑やかに盛り上がる。このドラマにおける「紋白祭」の賑わいは、何というか、極めて気合の入った描写によって大いに盛り上がった。その途上には、品川大地の、足立花から恋の告白を受けるのではないか?という期待感の妄想や、姫路凛風(川口春奈)の、品川大地と結ばれるのではないか?という期待感の妄想もあって、文化祭の創始から準備を経て実行にまで至る流れを見せるだけだったとしても今宵の話は楽しめたことだろう。
しかるに、近隣の町から来た柄の悪い暴力ヤンキー集団が、この紋白高等学校に通っているとの噂のある伝説の最強ヤンキー「ハリケーンアダ」への仇討を企て、文化祭の会場に乱入してきた。無論「ハリケーンアダ」とは往年の足立花の名に他ならない。この不穏な事件に直面して品川大地は足立花の平穏な学園生活を守りたい一心から自ら「ハリケーンアダ」を名乗って喧嘩に応じ、楽しみの場を大乱闘の場と化した。品川大地の大親友の練馬青雲(鈴木亮平)も、普段は別の高等学校へ通っているにもかかわらず大乱闘の場に加わって品川大地のために力を貸すことができたのも、校外からの来客を多数歓迎することのできる文化祭という場ならではの展開だったのは云うまでもない。
文化祭という制度は、それを執行する集団の秩序の賜物ではあるが、その現場においては混沌をも孕んでいるだろう。その楽しみの混沌の中へ不吉な暴力の混乱をも惹起したことで物語は次週の最終回へ向けて大きな激動を迎えようとしているのだ。