SMAP毒トマト殺人事件

特別番組、テレビ朝日系「史上初!!ドッキリドラマ 主演SMAP 毒トマト殺人事件 SMAPに内緒で勝手にドラマ作っちゃいましたSP」。
本年一月十日に放送された特別番組「SMAPがんばります!!」の制作にあたり撮影された膨大な映像等を効果的に再利用して作成されたドラマを、そのドラマに勝手に主演させられたSMAP五人と一緒に見るという番組。夜七時五十七分から約二時間の番組だったが、その前半は「SMAPがんばります!!」の撮影現場がどのようにして「毒トマト殺人事件」の撮影現場を兼ねていたのかの種明かし、所謂メイキング映像の公開のために当てられた。これは賢明な措置だったろう。なぜならこの番組の面白さは、いみじくも木村拓哉がドラマを見終えたあとに云ったように、結局、ドラマを撮影しているわけではない現場にそれとは無関係であるはずのドラマ出演者が巧妙に忍び込んで密かに勝手に演技をしていたという点と、本来ならドラマになんかなりそうもないような相互に脈絡のない映像を無理矢理に繋げてドラマのようなものに仕立て上げたという点にあるのだからだ。実際、ドラマ側のみの出演者である平泉成温水洋一をはじめとする俳優陣が密かに「SMAPがんばります!!」の各種の撮影現場に出没していたことを暴露した番組前半の種明かし部分が、ドラマ本体よりも楽しめた。
そして何といっても今宵この番組における白眉というべきは、ドラマを見終えた直後のSMAP五人衆が何れも一様に、微妙というか失望したような表情を浮かべていて、何だか無口だったこと、そして木村拓哉が、繋げようもないものを無理矢理に繋ぎ合わせた制作者の努力を盛んに肯定し評価しておきながらも、決してドラマ自体を評価してはいなかったこと。彼等五人はああ見えて吾等視聴者と同じ感覚を持ち合わせていて、しかも正直なのだということをよく物語っていたと云えるだろう。
このドラマには実は未公開映像を含めた「完全版」があるようで、同じく未公開映像を含めた「SMAPがんばります!!」完全版と合わせてDVD化され、発売されることが決定したとのこと。なるほど、それを見ないことには真の結末を知ることはできないとでも云うのだろうか。「仮面ライダーディケイド」の商法に学んだのだろうか。おのれ!ディケイド。でも本当にDVD化して欲しいのは今年の「SMAPがんばります!!」第二弾ではなく昨年一月三十一日に放送された第一弾の、特に高畑岬中島健人岸孝良&森健&菊池風磨の五人が少年時代SMAPを演じた再現ドラマなのだ(既に引退したと思しい少年がいるので不可能に近いだろうことはもちろん承知してはいる)。