仮面ライダーオーズ第十五話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第十五話「メダル争奪と輸送車と器」。
最近の数話を通して鴻上財団の隊長、後藤慎太郎(君嶋麻耶)はどんどん格好よくなってきていたが、ことに今朝の話には彼の格好よい見せ場が幾つも積み重ねられて、事実上、彼が主人公だったと云うも過言ではないかもしれない。
一番の見せ場が終盤の、二重にオーズを助けた場面にあるのは云うまでもない。飛行するヤミー相手に苦戦していたオーズ=火野映司(渡部秀)を助けるために、あの何時もの巨大な武器でヤミーを砲撃して打撃を与えた上で、オーズにコアメダル二枚を投げて渡し、無事オーズの勝利に終わったのを見届けたところで、武器を担いで黙って去ったのだ。
この場面の前提として、オーズのコアメダル六枚がグリード衆によって奪われそうになったとき、それを取り戻そうとしたアンク(三浦涼介)よりもさらに速く後藤慎太郎がそれに飛びかかり、辛うじて二枚を見事に横取りすることに成功した場面があった。彼がコアメダルを横取りしたのはもちろんオーズにコアメダルを返すために他ならない。世界の平和を守るために働きたい彼にとっては、自身の護衛していたメダル輸送車に泉比奈(高田里穂)が拉致監禁されていたという事実は許し難かったはずで、ゆえに火野映司には申し訳ないという思いがあったろうし、たとえオーズがアンクの手先であるとしても、少なくとも今の局面ではオーズにコアメダルを戻してやることこそ平和への道であるという確信もあったろう。自身の属する組織に楯突くことにもなりかねない勇気ある決断だった。
この決断を予告する場面が先行してあった。鴻上財団のメダル輸送車には泉比奈が拉致監禁されているという話をカザリ(橋本汰斗)から聞かされた火野映司が、輸送車の護衛をしていた後藤慎太郎の車を止めて真相の程を訊ねたとき、後藤慎太郎は輸送車の戸を開けて中を見せたばかりか、荷物までも開けて中のセルメダルを見せた上で、「万が一、我々の中でそんなことをする奴がいたら、俺が許さない。たとえ会長でもだ」と云った。
そうして彼は、火野映司が輸送車のあとに付いてくるのを許して出立したが、山奥の渓谷の橋の上を走行していたところでウヴァ(山田悠介)、ガメル(松本博之)、メズール(未来穂香)の襲撃を受けた。オーズもアンクも渓流に突き落とされ、輸送車も奪われたものの、オーズのコアメダルを奪い返すことには成功した後藤慎太郎は一人、ウヴァの運転する輸送車を追跡した。ここもまた彼の格好よかった見せ場の一つだった。
そして最後に、ヤミーを砲撃して打撃を与えてオーズを助け、オーズにコアメダル二枚を返すという今朝一番の場面が来たのだ。
東映の公式サイト(http://www.toei.co.jp/tv/OOO/story/1194022_1793.html)に掲載されている写真に見る後藤慎太郎の、一体どこの美少年アンティノオスかと見紛うような余りにも美しい姿は、この場面の、オーズを助け終えて安堵して去る直前の姿を捉えたものだったようだ。
今朝の話の冒頭の、鴻上財団のメダル輸送車を襲撃してアンクのコアメダルを奪還することを提案したアンクに対し、火野映司が「やらないよ、そんな強盗みたいなこと」と反発して拒絶したとき、この「ゴウトウみたい」が「ゴトウみたい」と聞こえてしまった所為で、まるで火野映司が後藤慎太郎に嫌悪感を抱き始めたかのようにも聞こえて、何とも嫌な予感を禁じ得なかったが、その予感に反して火野映司は相変わらず後藤慎太郎を信頼していたし、後藤慎太郎はその信頼をもはるかに上回る厚い友好の意を見せた。彼の位置は確実に変わってきている。