美しい隣人第七話

フジテレビ系(関西テレビ)。ドラマ「美しい隣人」。第七話。
矢野絵里子(檀れい)が子の矢野駿(青山和也)に対して辛くあたったのは、夫の矢野慎二(渡部篤郎)が浮気をしているのを隠していることに対する苛立ちから、八つ当たりをしてしまったという面もあったろうか。この夫妻の不和も矢野駿を不安にしていたろうし、隣人のマイヤー沙希(仲間由紀恵)が矢野駿を完全に手懐けたこともあって、矢野駿は母をやや避けるに至っていた。このことがさらに矢野絵里子を追い詰めた。矢野慎二の母の矢野美津子(草笛光子)もマイヤー沙希を気に入った余り、身内の矢野絵里子を馬鹿にしてマイヤー沙希を持ち上げる始末だった。
こうした積み重ねの上に、マイヤー沙希はついに、矢野慎二の浮気の相手が実は自身に他ならぬことを、矢野絵里子に対して明かした。しかも楽しそうに。全ては己の計画したことであり、矢野絵里子の混乱し、動転し、悲しみ、絶望する顔を見るために仕組んだことだったとさえ述べた。
見落とせないのは、マイヤー沙希のこの悪意に近いものを、相田真由美(三浦理恵子)も持ち合わせているという点だ。矢野慎二の浮気に関する噂を矢野絵里子にわざわざ伝えて不安を煽っておいた上で、この問題の行方について大いに興味を持っていることを矢野絵里子の前で隠さないばかりか、矢野絵里子の対処の仕方について本人の前で想像してみせ、あろうことか、今後の展開について報告を待っていることを笑顔で語ったのだ。マイヤー沙希のような緻密な攻撃力はないにしても、本質的にはマイヤー沙希と変わらない。案外、マイヤー沙希のような人物は、様々な濃淡において、どこにでも存在すると見るべきであるのかもしれない。