通常放送の再開/美しい隣人第十話=最終回

朝、定時に出勤し、夕方、定時に退出して帰宅。インターネット上のテレヴィ番組表を見れば日本テレビでは報道特別番組を止めて通常放送に戻っているようだったので、確かめるべくテレヴィを見れば、確かに「踊る!さんま御殿」を放送していたので驚いた。驚きながらもそのまま見てしまった。そして夜十時からは「美しい隣人」最終回を見たが、途中、地震の速報があって番組は中断。やはり通常放送に戻るのは早過ぎたのではないのか?と思っていたら、やがて番組は再開し、完結した。
フジテレビ系(関西テレビ)。ドラマ「美しい隣人」。第十話=最終回。
マイヤー沙希(仲間由紀恵)によって徹底的に苛め抜かれて強くなった矢野絵里子(檀れい)は、もはや単なる善人ではなかった。マイヤー沙希の理不尽な言動に狼狽することもなく、率直に反撃することができた。マイヤー沙希が愛しているのは、子ではなく、己自身でしかないのだ!と。
マイヤー沙希を退けた矢野絵里子は、夫の矢野慎二(渡部篤郎)と、子の矢野駿(青山和也)と、家族三人で転居して、新たな街の新たな邸宅で家庭生活を立て直しつつあった。
そこへ何者かが一枚のDVDを郵送してきた。DVDには、マイヤー沙希の子、ハヤトが亡くなった日の、報道番組を録画したものが収録されていた。ハヤトが行方不明になったのと同じ場所で似たような時刻に行方不明になっていた矢野駿が無事に保護されたことを聞いて、「よかった」と安堵し、喜び泣いていた矢野絵里子の姿が、そこには映されていた。
マイヤー沙希の怨念の理由がそれだった。矢野絵里子はマイヤー沙希の恨みが単なる八つ当たりでしかなく、余りにも理不尽で、正当化の余地もないものだったことを確信し得た。罪の意識に苛まれる必要もない。だから美空野町における忌まわしい出来事を全て清算できる。矢野絵里子はそう確信できたろう。矢野絵里子は完全に勝ったのだ。
だが、闘いには勝ったが、幸福な家庭を取り戻し得たようには見えない。小学校へ進学した矢野駿は、どうやら学校では上手く行っていない様子だが、そのことを母に語ろうとはしない。周囲と上手く行かないばかりか、小学校低学年の若さで早くも母に心を閉ざしているようだ。これは近い将来、家庭の崩壊にも繋がりかねない。
なにか重大な秘密を抱えているかのような気配を漂わせていた無口な謎のアルバイト青年「リオくん」こと松井理生(南圭介)には、結局、期待した程の秘密の解明はなかった。辛うじて明かされた秘密と云えば、(1)彼はマイヤー沙希に片想いを抱いていて、その想いを告白してもいたこと、そして(2)彼は周囲の誰からも人畜無害な人物であると思われていることを利用して矢野絵里子からも信頼を得た上で、矢野駿を預かってはマイヤー沙希と合わせていたこと、以上二点。もちろん後者は矢野絵里子にとっては到底許し難い裏切り行為で、重大な秘密だったには違いないが、視聴者にとっては、第一話以来の彼をめぐる謎めいた描写の数々を想起するなら、拍子抜けするような真相でしかなかったと云わざるを得ない。