渡る世間は鬼ばかり第十部第二十一話

TBS系。橋田寿賀子ドラマ「橋田壽賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。
最終部=第十部第二十一話。
有馬温泉で旅館を営んでいる気品ある老女、長谷部マキ(淡島千景)が小島家ラーメン店「幸楽」を訪ね、小島五月(泉ピン子)に会いに来た。長谷部マキは、小島眞(えなりかずき)にとっては職場の上司にあたる長谷部力矢(丹羽貞仁)の祖母。長谷部力矢の妹の長谷部まひる(西原亜希)と小島眞が交際していると信じ込み、よい相手であると確信して、何としてでも孫を小島眞の嫁にしてもらいたいと願い、その思いを率直に小島眞の母親に伝えに来たのだ。
突然の訪問ではあったが、礼儀正しく気品を湛えながらも気さくな長谷部マキの様子に小島五月は感激し舞い上がった。小島五月もまた、まだ会ったこともない長谷部まひるを、是非とも小島眞の交際相手として、さらには嫁として迎えたい気分になっていたようだった。
とはいえ長谷部まひると小島眞は今のところは交際してもいない。祖母の長谷部マキが執拗に縁談を持ち込んでくるので、見合いを拒絶するための口実とするため、小島眞との交際を偽装していたに過ぎない。小島眞の上司にあたる長谷部力矢もそうした事情を踏まえて敢えて小島眞に協力を願っただけのつもりだった。だから、あたかも結婚を前提に交際しているかのような話になってしまった現状に、少々不機嫌な顔をしていた。小島眞を妹に横取りされたような気分にでもなってしまったのだろうか。
問題は、長谷部まひるの本音だ。今宵の話の時点では、小島眞と交際しているという事実もないまま、あたかも結婚を前提にした交際をしているかのような話になってしまったことを申し訳なく感じて、わざわざ「幸楽」を訪ね、小島五月に、祖母の挨拶の件について事情を説明して、謝罪した。その説明において長谷部まひるは、(1)祖母の長谷部マキは勘違いをしているのだということ、(2)実際には自身は小島眞の恋人ではないどころか未だ友人でさえなく、小島眞には不快な思いをさせてしまったこと、(3)小島眞は自身には勿体ない男であり、もし恋人にはしてもらえなくとも友人にでもしてもらえるなら、それだけでも光栄だと感じる程であること等を述べていた。長谷部まひるのこれらの言葉は、社交辞令の類に過ぎないのか、それとも案外、本音をそのまま表現したものでさえあるのか。場合によっては嘘が本当に化けてしまうかもしれないのだ。
次週の予告編によれば、高級料理店「おかくら」を経営する岡倉大吉(宇津井健)の五女、本間長子(藤田朋子)と、本間常子(京唄子)の長男の本間英作(植草克秀)との間の長女、本間日向子(大谷玲凪)には恋人ができたようで、次週、その男子が登場するようだが、予告編に見えたその顔は、菊池風磨に見えた。中島健人大倉忠義の弟になるかと思えば菊池風磨植草克秀の婿みたいなことになるのだろうか。