渡る世間は鬼ばかり第十部第二十二話

TBS系。橋田寿賀子ドラマ「橋田壽賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。
最終部=第十部第二十二話。
料理店「おかくら」主人の岡倉大吉(宇津井健)の五女、本間長子(藤田朋子)と、本間常子(京唄子)の長男の本間英作(植草克秀)との間の長女の、本間日向子(大谷玲凪)は予て密かにブログを開設して悩み事を記していたところ、それに反応した多くの読者とインターネット上の交友を深め、今や百人もの友を持つに至っているが、中でも「トモ君」とは意気投合して特に親密になり、これまで二度も面会したことがあった。
その「トモ君」とは高校一年生の男子、乃木智(菊池風磨[ジャニーズJr.])。今回、三度目の面会をして、近い内に「どこかへ歩きに行く」約束をした。「どこかへ歩きに行く」とは所謂デイトをするということだろう。
他方、本間日向子は、幼時から実家「おかくら」の厨房の様子を見詰めてきたこともあって料理人として生きることへの憧れを抱くに至り、祖父の岡倉大吉に、是非とも「おかくら」で働かせて欲しいと申し出た。その際、岡倉大吉の弟子である森山壮太(長谷川純[ジャニーズJr.])への尊敬の念を、隠さないどころか盛んに強調していたのが印象深い。
乃木智に励まされながら、森山壮太に憧れるという構図。
これが大井貴子(清水由紀)の感情に何等かの影響を及ぼすようであれば、それは延いては、小島眞(えなりかずき)にも何等かの影響を及ぼさないとも限らない。物語は思わぬ場所から新たな方向へ動き出し得る。
今回の話で一つ見落とせないのは、本間常子(京唄子)の行為と本間日向子の行為とが、対比されるよりは重ねられるように見えたところだろう。本間常子はインターネットなんかとは無縁の人であるが、近隣の孤独な老人たちを様々な伝で繋げて「おかくら」に集めて、今まで相互に面識のなかったそれらの人々に新たな交友関係を拓かせるという行為は、多分、インターネット上の交友関係と大差ないと云えるのではないだろうか。