仮面ライダーオーズ第三十話

東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第三十話「王とパンダと炎の記憶」。
ドクター真木清人神尾佑)の過去が明らかにされた。彼の姉が亡くなったのは、殺害されたからだった。殺害したのは幼時の彼自身だった。結婚して彼の前を去り行こうとする姉に、当時の彼は悪魔を見出し、悪魔を抹殺することによって逆に、姉に関する記憶を美化し、姉を美化して、その美しい記憶を抱いて生きてきた。忌まわしい事実を「終わり」にすることによって美しい過去として封印したということだ。
だが、美しい過去の、云わば捏造された記憶がこれまでは「終わり」への悲しみを彼の心に抱かせることによって、彼の心に良心の領域を構成し、彼が世界の「終わり」を目指して行動することへの足枷にもなっていたのだろうか。しかし今や彼は過去の忌まわしい真相を直視できた。醜い事実が「終わり」を迎えれば美しい記憶に改竄されることを、改めて確と自覚することを得て、彼は今後いよいよ「終わり」の思想の実現のため邁進してゆくのだろう。
もう一つ、過去の事実が説かれた。オーズとグリードを生み出したのは八百年前の或る王の強烈な欲望であり、オーズは王の力だった。この真相を、後藤慎太郎(君嶋麻耶)は鴻上財団会長の鴻上光生(宇梶剛士)その人から聞いた。
会長の秘書の補佐役として財団に復帰することを許された後藤慎太郎は、表面上は秘書の業務の一環として、財団職員の誕生日を一覧表にまとめるという地味な(いかにも鴻上財団ならではの)作業に従事しながら、隙を見て、財団のコンピュータのネットワーク内を探索して、オーズやグリードに関する機密情報を盗み見しようと試みていたが、鴻上光生はそんな彼の行動を全て見抜いていて、逆に、彼に機密資料の在り処を教え、真相を説いてみせたのだ。
同じ頃、伊達明(岩永洋昭)と火野映司(渡部秀)もアンク(三浦涼介)から殆ど同じ話を聞き出していた。だから多分、後藤慎太郎は鴻上光生から聞いた話を伊達明に報告するだろうが、そのときには既に伊達明も殆ど同じ話を把握しているのだ。