旅行記二京都国立博物館法然上人展

旅行記二。
昨夜はそれなりに早めに就寝したはずだが、今朝、目を覚ましたとき、ホテルの宿泊室内が寒かった所為か、それとも疲れていたからか、起きる意欲を欠いた。でも旅行先で行動しないのは勿体ないと考え、十一時にはホテルから外出。阪急電車で梅田駅から烏丸駅へ向かった。このとき、出発の直前の満員の電車に乗ったのは失敗だった。なぜなら烏丸駅まで立ち続けなければならなかったから。十分間だけ待って次の電車で座席を確保し、約一時間の仮眠を取るのが正解だったろう。このときの失敗の所為で、烏丸駅に着いたときには歩くのも立つのも辛いような状態。でも休憩できる場所もなく暇もなく、烏丸駅から地下鉄の四条駅へ歩き、四条駅から京都駅へ移動して地上へ上がり、徒歩で京都国立博物館へ。
しかし博物館へ入ろうにも、観照に集中するには余りにも気力と体力を欠いていたので、必ずしも空腹を感じてはいなかったものの、空腹を満たせば少しは元気になるかもしれないと考え、休憩を兼ねて先ずは食堂へ。料理が出てくるまでの間に座った姿勢で少しだけ仮眠。
さて、昼一時半頃、京都国立博物館の本館へ入り、日曜日まで開催中の特別展覧会、法然上人八百回忌「法然-生涯と美術」を観照した。幸い、入館までの待ち時間はなかったが、入ってみれば流石に大変に混雑していた。当然だろう。副題に「鎌倉仏教トップランナー法然」とある通り、法然上人が中世以降の日本人の信仰に与えた影響の大きさは、親鸞聖人の師だったことも含めて、やはり抜きん出ている。展示室内でも、法然上人の坐像や阿弥陀如来の立像に合掌して拝礼している人々が見られた。
法然上人絵伝の各巻を見ながら生涯をたどり得るようにした展示は興味深いものだったはずだが、生憎、大混雑で充分に見ることもできなかったし、何といっても体調が悪くて観照に集中できなかったので、図録等を購入して二時四十分頃に会場を出た。思うに、大混雑の予想される展覧会では、展示品と展示品との間隔を二メートル位に設定して、解説文を展示品から少し離した方がよい。そうすれば混雑は大幅に解消できるはずだ。
ともかくも身体が辛かったので本館の外に設置された休憩所で暫く休憩していたが、いつまでも休憩していても回復できるわけでもなさそうだったのでホテルへ戻ることを決意して三時頃に博物館を出た。本当はできれば北山の京都ギリシアローマ美術館にも行きたかったのだが、無理して行っても観照に集中できそうもなかったので泣く泣く断念。地下鉄の京都駅まで歩き、京都駅から四条駅、阪急電車烏丸駅河原町駅を経て五時頃に梅田駅へ戻った。河原町駅から梅田駅までの間は座席を確保して仮眠を取ることを得て、これで少し回復できた気がするが、ホテルの宿泊室へ帰ってからは夜七時半頃まで仮眠。起きて、夕食のため外出し、梅田の食堂街にある菱竹という鰻料理店のスキ焼で夕食。大変よかった。また行きたい。
関係ない話を書くが、肉を鍋で炊いたり網で焼いたりするのが近代の「和魂洋才」の日本の正しい美味学であって、そもそも生で食べること、食べさせること自体が間違いであると断言してもよいと私的には思う。