渡る世間は鬼ばかり第十部第二十八話

TBS系。橋田寿賀子ドラマ「橋田壽賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。
最終部=第十部第二十八話。
今宵も色々あったが、最も面白かったのは、小島眞(えなりかずき)の容姿が話題になり、併せて長谷部力矢(丹羽貞仁)の容姿も話題になったことだ。それは小島五月(泉ピン子)と小島眞との会話でのこと。
小島五月は長谷部まひる(西原亜希)と小島眞との交際、さらには結婚を望んでいるが、対する小島眞は長谷部まひるとの現在の関係は決して真剣なものではないことを強調すると同時に、今なお大井貴子(清水由紀)と己との交際が続いているはずであることを主張している。現時点において、両名は妥協できそうもないが、唯一、長谷部まひるを小島眞には勿体ない程の才色兼備であると評価する一点において両名は意見の一致を見ている。
そうした中で小島眞は、長谷部まひるには「まじめで思いやりがあって仕事ができてイケメン」であるような人が相応しいと考えていることを述べ、小島五月も、長谷部まひるがもし「面食い」であるなら小島眞なんか本気では相手にしてもらえないのかもしれぬと肯いた。
しかも小島眞の見るところ、長谷部まひるにとっての「理想」は、彼の「先輩」=上司であり長谷部まひるの兄である長谷部力矢に他ならぬと思うことをも述べたのだ。
小島眞の眼には長谷部力矢が女子たちの憧れの的になり得る程の理想の人物、人格識見に秀でているのみならず容姿端麗でもあると見えているらしい。そして小島眞も小島五月も、小島眞の容姿を全く、あるいは殆ど評価していないらしい。前者の評価については兎も角、後者の評価については違和感を抱く視聴者は極めて少ないに相違ない。
だが、問題が一つある。過去にこのドラマには、小島眞が多くの女子たちに一目惚れをさせてしまう程の人物であるかのような描写があったのだ。三月三日に放映された第十部第十九話でのことだ。そのとき、交際相手を見つけるべく富裕の男女多数が集結した夜会の席上、小島眞が大して着飾ってもいない地味な恰好で長谷部力矢と長谷部まひると三人一緒に立っていたところ、着飾った数人の女子が小島眞の周囲に群がってきたのだ。小島眞が一体どのような人物であるのか、性格も職業も何も知らない状態で小島眞に着目し、交際相手の候補者と期待して話しかけてくるということは多分その容姿に心惹かれたということでしかあり得ない。