旅行記一京都国立博物館百獣楽園展

旅行記一。
朝、慌しく準備を整えて外出。九時十五分にJR松山駅を発して、岡山駅で乗り換えて、京都駅へ到着したのは昼一時半頃。駅の地下のコインロッカー室で空のロッカーを辛うじて見つけて荷物をそこへ預け、身軽になってから京都国立博物館へ。二時頃に到着。
京都国立博物館で開催中の特別展観「百獣の楽園」を観照した。最近、各地の美術館や博物館で、動物を表現した古今の美術品を集めた展覧会が盛んに開催されているような気がするが、この京都国立博物館の場合、仏画や神像もあれば徳川家康の着物もあり、唐三彩もあって流石に一味違う。絵画でも、雪舟や雪村、式部輝忠、狩野元信、狩野永徳等が当たり前のように出てくる。円山応挙与謝蕪村、呉春、伊藤若冲長澤蘆雪、森狙仙等に混じって富岡鉄斎等が何回も登場するところに京都ならではの視点があると思われて、興味深い。
それにしても、今回ここに並んだ富岡鉄斎の作品群は何れも見慣れないもので、しかも全て個人蔵。これまで未調査だった個人コレクションが見出されたのだろうか。その点も興味深かった。
狩野探幽筆《佐久間将監像》(個人蔵/重要文化財)は、隠居姿の老武将が猫を抱いている姿を描いて、気品に満ちた名作。河鍋暁斎筆《惺々狂斎画帖》(個人蔵)に登場する化け猫は、恐ろしく巨大ではあるが、姿形は普通の猫そのものであるのが面白い。《葵紋蒔絵卦算并硯》(霊鑑寺蔵)の内「銀製兎型水滴」の兎は徳川将軍家の若君の眼を楽しませたに相違ない愛らしさ。《十二類絵巻》(個人蔵/重要文化財)では鹿や龍が豪華な狩衣を着て、山羊や馬が直垂を着て宴会をしている。蛇だけは女装になっているのが何とも異様で楽しい。
夕方四時半に博物館を出て、徒歩で京都駅へ。地下の天麩羅店で早めの夕食を摂って、コインロッカーから荷物を取り出し、六時二十分頃に出発して七時十分にJR奈良駅へ到着。駅に近いホテルへ入った。