月九サマーヌード第八話

月九ドラマ「SUMMER NUDE サマーヌード」。第八話。
三厨朝日(山下智久)のもとには、かつて彼が東京で写真の専門学校に通っていたとき以来の友人でありライヴァルでもあるヤーマダこと山田ハジメ(大東俊介改め大東駿介)が訪ねてきた。今や一流の商業カメラマンとなって東京を拠点に世界へ羽ばたこうとしている彼は、己よりも豊かな才能を秘め、己をかつて励まし、奮起させてくれた三厨朝日に対し、己とともに競い合うべく東京へ出てくることを求めた。
このドラマでは今まで、都会を離れたところで生きることにも充実と喜びはあり得ることを表していたようにも見えたが、どうやらここに来て一転、真の充実した喜びは都会で生きることにこそあると主張し始めたかのようだ。換言するなら、地方は過疎化して衰退するのが時代の趨勢であり必然であるという社会観がここにある。
一流の伊太利料理店の厨房で料理人として働き始めた千代原夏希(香里奈)は、その厨房における勤務中、携帯電話に着信があれば直ぐにそれを取り出し、三厨朝日から受信した電子メイルを見ては喜び、それに対する良い返信の仕方を思い付けば勤務時間中でも構わずメイルを送信していた。携帯電話というのは決して清潔なものではないように思われるが、それを厨房に持ち込み、取り出しては操作するのを繰り返すのは料理人の姿勢として妥当だろうか。現今話題の、商店内や厨房の冷蔵庫の食材の上に横たわる人々と同じく、露見した暁には店が非難を浴び、閉店に追い込まれかねないようにも思われる。
店長の影山(中村俊介)は注意しないのだろうか。仕事に厳しいかと見えた彼は、千代原夏希がマカナイで拵えた焼ソバを食べた途端、この新人に甘くなったが、この急な変化を不自然に感じなかった視聴者はどの程度いたのだろうか。
谷山駿(佐藤勝利)の出番は二度。一つ目は、番組開始から十七分程を経た辺。町内を代表する富商「谷山酒造」の谷山家の別邸と見られる谷山波奈江(戸田恵梨香)の庵の居間にいて、姉の就職活動が苦戦していることについて、「経験がないから雇いにくいのかな?」と素直な感想を述べていた。卓上にはジュースと菓子があり、姉の不在の間もそこにいて寛いでいたと思しい。
二つ目の出番は、番組開始から三十五分程を経た辺。再び谷山波奈江の亭。相変わらず姉が就職活動に苦戦しているのを心配しつつ、冷蔵庫から麦茶か何かを取り出してガラス杯に注ぎ、それを食堂の食卓上に置いて、椅子に座して読書し始めようとしたとき、姉は東京で働き始めている桐畑光(窪田正孝)から送られてきた電子メイルに励まされて笑み、それを見た彼は「採用決まったの?」と訊ねた。「だって今、嬉しそうな顔してたじゃん」という谷山駿の言は、谷山奈奈江が桐畑光への想いを自ら再確認することに繋がったのだろう。