ブラックプレジデント第三話

関西テレビブラック・プレジデント」第三話。
ブラック企業の反対語が「ホワイト企業」であるとは知らなかったが、インターネット上に検索してみたところ実際にそのような語が通用しているらしい。
今回の話はブラック企業ホワイト企業の対決を演出してみせた。ブラック企業のブラック経営者である「トレスフィールズインターナショナル」の筆頭株主であり社長でもある三田村幸雄(沢村一樹)と、「そこに愛はありますか?」という宣伝文句で広く親しまれている「ジュノザ・ウェディングサロン」の社長、篠崎佳代子(萬田久子)とが意見を戦わせたわけだが、結末は少々意外だったかもしれない。
ジュノザ・ウェディングサロンは、社会情勢の変化に応じ切れず経営を悪化させて破綻し、ブラック企業に買収されるに至ったのだが、これは必ずしもホワイト企業そのものが失敗したのではなかった。そうではなくて、ホワイト企業であることを自認し誇示していたジュノザ・ウェディングサロンが実は経営者個人の思いや体面のみに囚われて会社そのものの維持や改善を怠っていた結果、トレスフィールズインターナショナルに助けてもらうしかなくなったのだ。
ブラックであるかホワイトであるかを問わず、会社は一時の祭なんかではなく、永続する事業体でなければ意味がない!という三田村幸雄の主張は、確かに、極めて正しい。会社を長期持続させる努力も工夫も怠って、結果として大勢の優秀な社員を路頭に迷わせかねなかった篠崎佳代子は、実のところは決してホワイト経営者でも何でもなかったと云わざるを得ない。
他方、城東大学映画サークル「アルゴノーツ」では、漸く皆が三田村幸雄の正体を知るに至った。将来は会社を起こしたい!と夢想している部長の工藤亮介(永瀬匡)がこの意外な事実を知って無邪気に面白がっていたのは期待通りでさえあるが、全く無反応だったのは、女優をつとめる部員の岡島百合(門脇麦)。これも期待通りの反応と云える。なぜなら岡島百合は三田村幸雄その人に興味を抱いているからだ。さらに期待通りだったのは、映画監督志望の副部長、前川健太(高田翔)が、三田村幸雄の正体になんか興味なさそうに振る舞いながらも、誰よりも激越に反発し、ブラック企業への批判を発したことだろう。実のところ三田村幸雄という人物に最も関心を持っていないのは工藤亮介で、最も関心を抱いているのは岡島百合と前川健太であると見受ける。