ブラックプレジデント第四話

関西テレビブラック・プレジデント」第四話。
城東大学の学園祭で、映画サークル「アルゴノーツ」が模擬店を開く話。とは云っても元来は部長の工藤亮介(永瀬匡)も、副部長の前川健太(高田翔)も、他の部員も皆が模擬店なんか開きたくもないと思っていた。労力の割には利益がないことを知っていたからだが、ブラック企業のブラック経営者である「トレスフィールズインターナショナル」の筆頭株主であり社長でもある三田村幸雄(沢村一樹)は模擬店を開いて青春を謳歌してみたいと考えていたので、上手いこと彼等を騙して説得して模擬店を開かせてしまった。前川健太や工藤亮介をはじめ各自の志望や願望を踏まえて言葉巧みに意欲を持たせてしまったところは見事だったが、結局、トレスフィールズインターナショナルの商売に利用して模擬店の利益の八割をも横取りしてしまったのは、ブラック経営者らしい結末だった。模擬店なんか儲からないから嫌だ!という皆の当初の意見の方が正しかったのではないのか。
とはいえ単純に三田村幸雄を批判し切れないのは、前川健太も工藤亮介も、他の部員たちも皆それぞれ、模擬店の営業を楽しんでいたからに他ならない。映画監督志望で神経質な芸術家肌の前川健太も今回は模擬店のオム蕎麦を楽しそうに作っていたし、企業経営者になりたいと願望している工藤亮介は自らブラック経営者になり切って愛想よく商売に徹していた。未だ見たことのなかった威勢のよさだった。
それに、三田村幸雄は今回、商売のために模擬店を利用したように見えてその実は、学生生活を存分に謳歌するのを会社に向けて正当化するために、模擬店を商売に利用してみせたとも云えなくもない。
それにしても、城東大学講師の秋山杏子(黒木メイサ)はブラック企業の研究の一環としてトレスフィールズインターナショナルの内情を探るため、その店舗の一つにアルバイト店員として助手の増山圭介(澤部佑)を潜入させようとしていたが、アルバイト店員の採用試験は過酷な競争倍率を誇るらしく、先に知遇を得た社長秘書の冴島真理(国仲涼子)の「コネ」を利用するしかなかった。アルバイトとして採用されるにも激しい競争を勝ち抜かなければならないということは、トレスフィールズインターナショナルは世間では必ずしもブラック企業とは認識されていないということになりはしないのだろうか。しかも、秋山杏子は友人となった冴島真理を己の野心のために利用する格好になったわけだが、そのことについて気まずいとは思わないのだろうか。