新番組=水球ヤンキース第一話

土ドラ「水球ヤンキース」第一話。
出演者の顔触れに期待して物語には期待していなかったが、見たところ、思いのほか面白かった。
主人公の稲葉尚弥(中島裕翔)は、学業にも運動能力にも秀でていて、そして不良高校の「番長」になんか本来なり得ないような生真面目な人物であるにもかかわらず、幼時に出会って助けられた霞野工業高等学校の番長に憧れて、今や無理をして番長に相応しい人物であろうとしているが、自身の本来の学業成績の水準からは遥かに劣る霞野工業高等学校に敢えて入ってみれば、そこには既に番長どころか不良さえも存在してはいなかった…というところから始まった話。ダメな人ではなく、むしろ極めて優秀ではあるが、あらゆる点においてズレまくっていて、しかもそのズレ具合を熱情が貫いていることで、ドラマが生じている。こうして考えてみると、稲葉尚弥は中島裕翔に何となく似ているのではないのだろうか。
もう一つ、極めてドラマティクであるのは、いつも能天気に見える木村朋生(千葉雄大)、志村公平(中川大志)、加東慎介(吉沢亮)の三人組が、実は町内にある進学校の水蘭高等学校には入学できず霞野工業高等学校にしか入学できなかった敗北感を抱えて密かに苦しんでもいるらしいという事実。冗談を云い合い、馬鹿なことで盛り上がって、とても楽しそうであるだけに、水蘭高等学校水球部の嫌な連中に虐められて悔しがりながらも耐えていた姿が痛ましかった。その痛ましさこそが、水蘭高等学校水球部に対する稲葉尚弥の怒りを爆発させ、ついには彼を水球へ駆り立てたのだ。
三船龍二山崎賢人)は稲葉尚弥と同じく文武に秀でているにもかかわらず霞野工業高等学校に入学したらしく、謎を抱えた重要人物。本来なら水蘭高等学校水球部で活躍していたかもしれないという点は、「弱くても勝てます」における中島裕翔の演じた人物に近いとも云えるかもしれない。