仮面ライダードライブ第二十話

平成「仮面ライダー」第十六作「仮面ライダードライブ」。
第二十話「西城究はいつからロイミュードだったのか」。
仮面ライダードライブに変身する能力を有する警視庁特状課巡査、泊進ノ介(竹内涼真)は、ロイミュードの新たな「死神の長」を自称したメディック(馬場ふみか)に対し、「不良品」を情け容赦なく抹消して当然であると考えているその思考が「死神」チェイス上遠野太洸)の仲間への篤さとは全く異質であり、死神ではなく「悪魔」でしかないことを告げた。これは換言すれば、チェイスが悪魔ではないこと、ゆえに本来の心を取り戻し得るかもしれないことへの泊進ノ介なりの確信の表明に他ならない。
面白いことに、ブレン(松島庄汰)も同じように考えているのかもしれない。なにしろ、ハート(蕨野友也)がメディックの周到な作戦と着実な行動に感嘆してその「非の打ちどころ」のなさを称賛したのを陰で盗み聞いていたブレンは、メディックの「非の打ちどころ」は性格の悪さにこそあると呟いたからだ。
ロイミュードは全体として人間に敵対しているし、人間に対して明確に悪事をなしてきたロイミュードは今までに幾人も登場してきた。しかるにそれはあくまでも、ロイミュードが人間とは異なった何者かであり、人間とは利害を異にしているからこそであると云えなくはない。譬えるなら、人間と害虫との関係に等しい。ロイミュードの側には彼等なりの生存の意図があり、そこにおける正義や善や美がある。ハートが常々「友達」という語で云い表してきたのはそのことだったろう。
ハートに比するならブレンは少々心が狭いかもしれないが、それでも概ねハートのこうした思考を共有してきたと云えるし、チェイスはそのための用心棒として行動してきた。
ところが、メディックはどう見ても同じではない。ブレンは早くからそれに気付きながらも明確には見破り得ていないのかもしれないが、泊進ノ介は完全にそれを見抜いた。
メディックによって抹消されたロイミュード072の性格、云わばロイミュードらしからぬ「人間性」こそが、泊進ノ介のこの認識を裏付けたのであることは明白だろう。