コマさん探検隊/おでんと幸福/ケータの強さ

ニコニコ動画の「テレビ東京あにてれちゃんねる」(http://ch.nicovideo.jp/ch7)内の「妖怪ウォッチ」チャンネル(http://ch.nicovideo.jp/youkai-watch)で最新の第五十九話の配信あり。
コマさん&コマじろう兄弟が目立ったが、メラメライオン、バクロ婆、ひも爺も久し振りに登場した。おでんじん、ぎしんあん鬼の新登場と合わせて賑やかだった半面、どこか寂しさも混じる話もあった。
コマさん探検隊では、疑うことを知らない清らかなコマさんと、洞察に秀でて真相を見破るコマじろうの、兄弟それぞれの神々しさが発揮された。阿吽のような対称性。弟が兄の清らかさを守ったのに対し、兄は全てをそのまま受け止めたことで奇跡をも目の当たりにした。
妖怪おでんじんの「おでんの花道」事件では、コマさん&コマじろう兄弟の助け合い支え合う姿が別の側面から描かれた。とはいえ今までケータに召喚される度に常に強運で事態を解決してきたコマさんが、初めて事件を解決できないまま敗退した話にもなった。
解決を導いたのは妖怪ひも爺。ひも爺の孫娘は、生前の祖父との約束を守り、現在は大学医学部に在籍して医師を目指しているらしい。第四話で辛うじて後姿を見出し得たに過ぎなかった孫娘を、それ以後は確り見守り得ているのだろうか。そう考えると一段と「沁みる」のかもしれない。最後の、ケータと両親が三人一緒に、おでんの鍋を囲んでいる姿が楽しそうだった。
妖怪ぎしんあん鬼の事件。この妖怪の所為で極度に疑心暗鬼になってしまったケータに対し、ウィスパーとジバニャンは無論のこと、召喚されたメラメライオンも、それぞれ本気でケータの友であることを表現していたが、ウィスパーとジバニャンが普段からケータと一緒に生活していて、たとえ疑われようともケータから離れようとはしなかったのとは異なり、メラメライオンは普段はケータと一緒にはいないからだろうか、ケータによって退けられたとき、肩を落として寂しく去るしかなかった。いかにも寂しい姿だった。
誰をも信用できなくなったばかりか、妖怪ウォッチの機能をも疑い、自分自身の存在をも疑い始めたケータは、既にデカルト流の哲学の道を歩み始めたかのようだった。しかるにケータは、友の本心を探るべくバクロ婆を召喚し、クマとカンチから何時までも変わることのない友情を表明されて、漸く本来の明るさを半ば取り戻した。バクロ婆の能力を疑おうともしなかったのは幸い。
しかし思うに、ぎしんあん鬼の所為で疑心暗鬼になってはいても、ケータ本来の明るく優しく逞しい心が失われたわけではないから、その心の力によって、バクロ婆の能力も妖怪ウォッチの機能も、そして自分自身の存在も、見失うことがなかったのだろう。ケータの「普通」はそのような強さに裏付けられている。