仮面ライダードライブ第三十七話

平成仮面ライダー第十六作「仮面ライダードライブ」。
第三十七話「究極の味覚を狙うのはだれか」。
ドライブに変身し得る警視庁特状課巡査の泊進ノ介(竹内涼真)は、亡き父の仇討を果たし得て、なおもロイミュード退治の道こそ続くとはいえ晴れやかな気分になっていた。だからこそ山奥にある伝説の料理店「シュプレム」でオマール海老の美味に心奪われて正気を失い、「オマーーール!」と奇声を発する境地にも至り得ていたのだろう。
実のところ、彼には今どんな問題が残されているのか?と考えるに、強敵と見られるロイミュード幹部衆が複数いるのを無事に退治できるのかということ、ことに超進化の手段として泊進ノ介との決闘を望んでいるロイミュード002=ハート(蕨野友也)にどう対峙するのかということはあるが、ドラマとして見るなら、そこに大きな波乱はなさそうに思われる。波乱があり得るとすれば、「ベルトさん」=クリム・スタインベルト(声:クリス・ペプラー)に一体どのような「別の一面」があるのか?という点だろう。蛮野天十郎(声:森田成一)の頭脳を保全する蛮野パッドがチェイサー=チェイス上遠野太洸)とマッハ=詩島剛(稲葉友)に対して発した言によるなら、人々はクリム・スタインベルトの「一面」しか知らないらしい。
今回の話で最も大きな出来事は、ハートがロイミュード009=メディック(馬場ふみか)の暴走を咎めたことだろう。メディックは超進化態に達するための実験を密かに繰り返していて、しかもそのための実験台として他の多数の下級ロイミュードを利用し、犠牲にしていた。身体を喪失してメディックの下僕にされてしまっているロイミュード003=ブレン(松島庄汰)が心配していた通り、この行為がハートの意に反することは自明であり、海外からハートの許へ合流してきたロイミュード006(松浦新)とロイミュード008(日向丈)が早速この行為の問題を指摘したのを受けて、ハートがメディックを責めたのは当然だった。むしろ遅きに失したとでも云うべきだろう。
しかし不可解であるのは、メディックのあの実験が何も意味をなさないと思われるから。ロイミュードが超進化態に到達する手段は、人間の特定の感情を学び、その感情を最大化させて己の力にしてゆくことにある。メディックが料理店「シュプレム」へ次々ロイミュードを送り込んでは処分していたのは、極度の美味を与えて感情を高めさせ、反応を見ていたからだった。だが、これに何の意味があるのかは次週にも説明されるのかどうか。少なくとも今まで語られてきたところによるなら、超進化を惹き起こすための条件をなす人間の感情は、ロイミュード毎に異なるのではなかったのか。ロイミュード001=フリーズにとっては「屈辱」、ロイミュード002=ハートにとっては「喜び」、ロイミュード003=ブレンにとっては「嫉妬」、ロイミュード009=メディックにとっては「愛欲」。同一感情で同一の反応があるわけではない。ゆえに実験は成り立たないと考えるしかない。その辺は一体どうなっているのか。