福士蒼汰ドラマ恋仲第一話

福士蒼汰主演テレヴィドラマ。月九「恋仲」。第一話。
冒頭十三分間位を見逃したが、特に支障ないに相違ない。
富山の高校生、三浦葵福士蒼汰)と芹沢あかり(本田翼)は幼馴染みで、実は相思相愛。しかるにそこへ割り込んできたのが東京からの転校生、蒼井翔太野村周平)。
第二の「アオイ」である蒼井翔太は、当初こそ大人しく振る舞ってはいたが、三浦葵と芹沢あかりの恋仲の行方を絶えず観察しては略奪の機会を虎視眈々と狙い続けていて、遂に、芹沢あかりの父であり小さな町工場の経営者である芹沢寛利(小林薫)が事業に失敗して工場の倒産に見舞われ、住み慣れた町から逃げるしかなくなっていた窮状を見定めるや、それによって大いに動揺していた芹沢あかりに巧妙に迫った。その現場を三浦葵に目撃されていたのは流石に蒼井翔太にとっても予想外だったが、むしろこのことをも好機に転じさせるべく、蒼井翔太三浦葵の動揺をも利用して、三浦葵を芹沢あかりから遠ざけておいて、芹沢あかりにさらに迫った。だが、策略のみによって人の心を変えることができるはずもなく、芹沢あかりには拒絶され、むしろ芹沢あかりを三浦葵の許へ走らせる事態をさえ惹き起こしてしまったが、この展開が蒼井翔太の嫉妬心と闘争心に火を点けたのは火を見るよりも明らか。いよいよ芹沢あかりが父に連れられて町から消え去った日、芹沢あかりが三浦葵に送った連絡先の手紙を、三浦葵の荷物を卑屈にも探索して見付け出した蒼井翔太は卑劣にも窃盗し、連絡方法を絶つことで二人の仲を断絶させたのみか、もはや邪魔されることもない仕方で悠然と割り込んで、その後、恐らくは医師となって得た金銭力で、金に困窮する芹沢あかりを誘惑し、追い込み、追い詰め、手中に入れたのだ。
何という卑劣漢だろうか。この第二のアオイは。
物語の基本の設定は、二人のアオイと一人の女子との三角関係を展開させることにあるのだろうが、第一のアオイである三浦葵が明るく純情な熱血漢の魅力に満ちているのに比較して、第二のアオイがどこまでも卑怯、どこまでも卑劣で、実のところは二人のアオイの間にまともなライヴァル関係が成立していない。愛の力は金の力に勝てるのかを描いて行くことにしかなりようがなさそうに思われる。劇中「幼馴染みの恋なんて、あだち充の世界だけの話」とか何とか云う台詞があったかと記憶するが(冒頭のことで、録画できていないので台詞の細部を確認できない)、確かに、あだち充の世界にはあり得ない対立関係だろう。
かかる三角関係を少しでも趣あるものにし得るためには、第二のアオイに裏の狙いが欲しい。第二のアオイが卑屈な、卑劣な仕方で第一のアオイから恋人を奪い取ったのは、恋人を奪い取ること自体を望んだからではなく、あくまでも第一のアオイを苦悩させることをこそ楽しみたかったからではないかと考えてみる余地はないのか。換言するなら、第二のアオイの真の狙いは第一のアオイであり、卑劣な所業の動機は、歪んだ愛欲に他ならないと考えてみるのだ。そう考えるとき、今宵の第一話の中だけでも既に二度も、二人のアオイが一緒に水を浴びたり裸になったりする類の場面があったのは示唆に富んでいる。