旅行記三/広島県立美術館の生誕八十周年記念藤子・F・不二雄展

旅行記三。
朝、荷物をまとめて十時頃にホテルを退出。JR岡山駅へ行き、十時三十六分に発って十一時十四分に広島駅へ到着。コインロッカーへ荷物を預けようと思ったが、生憎、全く開いていなかった。しかも駅の構内が工事中だったからか、案内表示に従って歩き回れば道に迷うような状態で、流石に疲れたので、荷物を転がしながらタクシーを拾い、十一時五十七分、目的地の広島県立美術館へ。
広島県立美術館で九月六日まで開催されている展覧会「生誕80周年記念 藤子・F・不二雄展」を見ることこそが今回の旅行の真の目的に他ならない。会場内には大混雑が生じることが予想されたが、幸い、会期中は無休だそうで、月曜日であれば混雑も緩和されるに相違ないと予想し、今回、敢えて月曜日の今日ここへ来るように計画を立てたのだ。
冒頭のプロジェクションマッピングの「少し不思議な」映像で大いに期待感を高めたあとは貴重な原画で名作を読ませ、年譜で生涯をたどったあとは少年時代の貴重な回覧雑誌「少太陽」の現物と内容を公開し、著名な漫画家や小説家等から贈られた色紙を最後に並べる展示の構成。
一番の見所は無論、貴重な原画の数々。「ドラえもん」の第一話「未来の国からはるばると」の原画では、単行本収録時の加筆の部分に注目したが、やはり初出時の版を見ない限りは、加筆前の状態を想像し切れないと判った。「パーマン」第一話の原画では、「スーパーマン」を「バードマン」に変更し、「パー」を「動物」に変更する類の修正が(当然ながら)原稿そのものに手を加える形で断行されていて、修正前の状態には復元できなくなっていることを認識した。ともかくも、貴重な原画をこのように数多く見ることができて、実に見応えがあった。「オバケのQ太郎」と「パーマン」の古いテレヴィアニメも上映されていて、これも貴重だった。
最後の色紙では、鳥山明高橋留美子が目を惹くが、えびはら武司や田中道明、しのだひでお等も良かった。小説家の瀬名秀明が色紙に絵を描いていて、子供の頃にはもっと上手く描けていたはずであることを書き添えているのも面白かった。似たような感覚を抱く大人は多いかもしれない。
展示室の外には売店あり。何もかも買いたかったが、そんなに買えるわけもないので厳選した。近々会う予定の人への土産も兼ねて図録を二冊。図録は子供にも読んでもらえるように編集してあるようだが、大人にとってはもっと分厚く詳細にして欲しかった気もする。しかし多分、その要望に応えるべく藤子・F・不二雄生誕80周年記念マガジン「Fライフ」があるのだろう。だから「Fライフ」も買っておいた。
ガチャガチャを試してみたところ、オバQ一つを獲得。さらに試してみれば、ドラえもん二つを獲得したので、さらに一回だけ試した結果、パーマン一号一つを獲得。大当たりであると云える。
美術館内のロッカーに預けておいた荷物を取り出して昼二時五十七分に美術館を出て、路面電車を乗り継いで、夕方四時頃に広島港へ到着。四時半に広島を発って五時五十分頃に松山観光港へ到着。リムジンバスで終点の道後温泉駅前まで戻って帰宅した。
帰宅後、荷物を解いて、大型食料品店で買物をして夕食を拵えて寛いだあと一気に眠くなり、起きたのは翌朝六時頃。ゆえに八月十一日午前七時二十分に記之。