蚊星とターミネーターの物語/妖怪の進化と退化/ジバニャンと迷子の子猫

ニコニコ動画の「テレビ東京あにてれちゃんねる」(http://ch.nicovideo.jp/ch7)内の「妖怪ウォッチ」チャンネル(http://ch.nicovideo.jp/youkai-watch)で第八十四話の配信あり。
今回はケータの話が三つ。しかし三つ目はケータの話というよりは時折あるジバニャンの話。
妖怪かゆかゆ事件は壮大な時空の物語。
夏に蚊に刺されて痒くなるのは全部かゆかゆの所為。蚊を支配する妖怪ということだろう。全世界の各地域に各一体、かゆかゆがいて、それぞれの地域の蚊を代表しているらしい。
しかし遠い未来、人類は蚊を殲滅すべく戦闘を繰り広げ、かゆかゆは居場所を失い、滅びようとしていた。そこを救ったのは、かゆかゆ界の英雄、ジョンだった。ジョンは辛うじて生き延びていた蚊を率いて人間に講和をもちかけて降伏し、平和条約を締結したのち、新天地を求めて火星へ移住した。火星は「蚊星」へ改められた。
しかるに、人間界には蚊の生存を絶対に許したくない原理主義者の集団「コイルネット」があり、彼等は蚊の殲滅を徹底するにはジョンの存在自体を根本から抹消するのが早いと考え、はるか遠い過去まで遡ってジョンの母サラを暗殺しようと企てた。
このサラこそは、ケータの家に現れてケータを悩ませていた蚊の妖怪かゆかゆに他ならなかった。サラの子息ジョンから依頼を受けて、サラを守るべくケータの前に現れたロボニャンF型は、やがてコイルネットから遣わされてきた全裸の暗殺サイボーグ、ターミネーターを相手に、壮絶な死闘を繰り広げた。ロボニャンF型が見事な勝利を収めたに相違ないことは、ロボニャンF型が未来のジョンから遣わされてきた事実によって証明されている。
プールで遊んでいるとき唐突に御手洗に行きたくなる事件。
妖怪には進化形があるが、進化後が進化前よりも強いわけではないのかもしれないらしい。モレゾウの進化形はガマンモスで、この進化のためには厳しい修業に我慢し続けなければならないが、そもそも我慢することが正しいとは限らない。むしろ我慢することが健康を害するということもある。その点に立脚してモレゾウはガマンモスを集団で攻撃し、ついにガマンモスを退化させてモレゾウに戻してしまった。
結果、プールで遊んでいた人々皆が一斉にトイレへ向かったが、プールのトイレの数は限られているので凄まじい行列ができたことだろう。ケータは大丈夫だったろうか。
ジバニャンの夏休み事件。
トラック相手の孤独な修業に勤しんでいたジバニャンは、帰途、一匹の迷子の子猫に出会った。大きな野良猫に襲われようとしていたところを救出したあと、その子猫の家を一緒に探してやることにした。歩いて探すのは大変であると考え、空から探すべく、幾度も幾度もトラックに跳ね飛ばされては空を舞った。そこまでして子猫のために頑張ったのは、その愛らしく健気な子猫の姿に、ジバニャン自身の生前の、アカマルの姿を重ね合わせてしまったからだった。もし家が見つからなかったら一緒に住みたいとも考えていた。ケータは理解してくれるはずであると確信していた。
ジバニャンの健気な良い話は、良いところでケータに召喚されて邪魔されるのを常とする。召喚された先にはケータの宿敵ハナホ人がいるのも常とする。今回もジバニャンの予想通りだった。ジバニャンはケータの優しさを確信しているが、同時に、ジバニャンの良い話を打ち壊すのがケータであることをも予想できているのが面白い。ジバニャンと子猫の愛らしさが印象深かった。