仮面ライダーゴースト第十一話

平成仮面ライダー第十七作「仮面ライダーゴースト」。
第十一話「荘厳!神秘の目!」。
玩具商戦上最も重要な日であるクリスマスを前に、極めて盛り沢山の激しい展開。味方にも敵にも大きな変動があった。
明らかになったことの一つは、最前線で戦っている人々の誰一人、この戦いの意味を解ってはいないらしいということ。最も酷かったのは今までの一番の敵だった西園寺主税(森下能幸)。今まで一連の「不可思議現象」を仕掛けてきた彼は、先週の第十話において遂に偉人の眼魂十五個を全て集め、今週の第十一話の冒頭、それを用いて己の願望を実現しようとしたが、不発に終わったばかりか、消滅させられた。その理由は、眼魂の謎を知っているらしい謎の仙人(竹中直人)には明白。ベルトを持たない者が眼魂を集めたところで何の力も得られないというのがその理由。さらに云えば、眼魂には意思も感情もあり、眼魂を持つ資格を持たない者が眼魂の力を得ようとすること自体を許さないのではないだろうか。だからこそ、西園寺主税は存在し続けることをさえ許されなかったのだろう。
西園寺主税とは正反対に、眼魂によって存在を認められ、力を持つことを認められているとしか思えないのが主人公、天空寺タケル(西銘駿)。なにしろ、十五個の眼魂によって起動した巨大な力は、西園寺主税を抹殺したあと天空へ移動し、消えた西園寺主税の代わりに天空寺タケルを天空へ召し出し、どんな望みを叶えたいのかを述べるように命じた。眼魂の力を得るに相応しい者が天空寺タケルであることを、この事実が物語っている。
天空寺タケルの意志は、先週の第十話において既に決まっていた。深海マコト(山本涼介)の妹の、眼魂と化していた深海カノン(工藤美桜)を甦らせた。天空寺タケルの望みを叶えたあと、十五個の眼魂は地上へ散ったが、天空寺タケルのほか御成(柳喬之)、シブヤ(溝口琢矢)、ナリタ(勧修寺玲旺)は必死に拾い集めた。特に御成の収集活動が目覚ましく、結局、三個をジャベル(聡太郎)に取られたが、十二個を回収した。
面白かったのは、眼魂の回収をめぐるジャベルと天空寺タケルとの戦闘において、深海マコトが早速、天空寺タケルを助けるべく一緒に戦ったこと、しかも天空寺タケルは眼魂の一部を深海マコトに貸し与えたこと。今後は天空寺タケルと深海マコトが眼魂を共有しながら共闘してゆくのだろうか。
天空寺タケルが眼魂によって認められた特別な者であるらしいことを再び物語るのは、この戦闘の終盤。ジャベルによって呼び出された軍荼利を退治しようとして奮闘していた彼のために、武蔵の眼魂(声=関智一)が声をかけ、他の眼魂と一緒になって一つに連なり、彼に新たな力を与えた。
この展開の中で、いよいよ微妙な立場にあると判明したのがアラン(磯村勇斗)。彼は眼魔の世界の「大帝陛下」の御子であるにもかかわらず、眼魂の力について何も知らなかった。十五個の終結による巨大な力や、天空寺タケルの戦いを目の当たりにしたことによって初めて眼魂の力の存在を微かに知り得たに過ぎない。しかもアランにとって気に入らないのは、臣下のジャベルの方が眼魂の力について知識を有しているらしいこと。そしてアランの知らないところで、アランの知らないことを何か実行しようとしているらしいこと。そこでアランは、軍荼利を勝手に利用した挙句に無駄にした件でジャベルを責め、牽制しながら、漸く自ら動き始めるのだろうか。
ジャベルがアランの忠臣ではないことはもともと明白だったが、ジャベルが「大帝陛下」やアランの兄の忠臣であるのかどうかも今は明白ではない。なぜなら「アラン様の計画を借りて」という言のあとに起こされた今回の彼の行動は、アランばかりか「大帝陛下」等の計画をも借りながら己の野心を遂げようとしているかのような気配をも感じさせたから。
謎の仙人の、「もしや、あやつらが感付いたか?」という言の意味も大いに気になる。