仮面ライダーゴースト第二十四話

平成仮面ライダー第十七作「仮面ライダーゴースト」。
第二十四話「出現!謎の戦士!」。
今回は映画公開と春休に合わせた特別篇。眼魔軍団に変わってショッカー軍団のヤマアラシロイドが現れ、それを打倒すべく、ゴースト=天空寺タケル(西銘駿)は三十分前の世界から駆け付けたジュウオウイーグル=風切大和(中尾暢樹)と力を合わせた。同じ頃、某国では仮面ライダー1号=本郷猛(藤岡弘、)もショッカー軍団と戦っていた。
しかし同時に、本来の物語も進行した。ヤマアラシロイドを鼠小僧に見立てた石川五右衛門の英雄眼魂(声=関智一)は御成(柳喬之)に憑いて義賊の心を説き、天空寺タケルを導いた。このことは、眼魔界の第二王子という何とも得体の知れない相手であるアラン(磯村勇斗)をどこまで信用してよいのか?という問題を、泥棒でありながら善行をなす義賊をどこまで信用してよいのか?という問題に見立てることで、天空寺タケルに決断を促したから。
深海カノン(工藤美桜)は、深海マコト(山本涼介)の身体を取り戻すため再び眼魔界へ潜入したいと考える天空寺タケルに対しては「アラン様」と力を合わせるべきことを説き、対するに「アラン様」に対しても天空寺タケルに力を貸して欲しいと説いた。アランは天空寺タケルを利用できるのかどうかを考えるのかもしれないが、対するに天空寺タケルは、アランを利用できるかどうかを探るよりも、アランを信用してよいのかどうかを見極めなければならなかった。理性に富んだ月村アカリ(大沢ひかる)は当然、大いに警戒しているし、天空寺タケルも悩んでいたが、結局、よくは知らない人物だったはずの風切大和との見事に息の合った共闘や、石川五右衛門の頼もしい説教に促されて、アランとも共闘してみることを選択するに至った。
他方、眼魔界にも新たな動きがあった。
驚くべきことに、眼魔界で「大帝陛下」と呼ばれていたアドニス(勝野洋)は生きていた。帝位を継いだ第一王子の王世子アデル(真山明大)は、父を幽閉していただけだった。幽閉中のアドニスは相変わらず「祈り」の語を発していたが、多分、「祈りの間」の外で発しても効力はないのだろう。
前回、アデルは「祈りの間」が何か特別な力を持つ空間であり、「祈り」は単なる祈りではなさそうであると感じ取った。そこで彼は先代の遺臣である眼魔世界長官イーディス(竹中直人)に「祈りの間」が何であるのかを問うた。イーディスによれば、そこは「この世界を創造するのにかかわる力の根源。そこに入ることを許されるのは大帝のみ。しかし、もう遙か昔から、大帝の問いかけには答えない」。
しかもイーディスは「詳しいことは大帝に直接お伺いしてみてはいかがでしょう」とも加えた。イーディスはアドニスが存命であることを既に見破っていた。アデルとアランの姉にあたる王女アリア(かでなれおん)も「父上」が存命である可能性を見抜いていた。
イーディスの言から想像するなら、「祈りの間」における「問いかけ」には十五の英雄眼魂が必要であるに相違ない。天空寺タケルを導く仙人(竹中直人)はその真実を知っているに相違ない。アデルも今、その真実を察したらしい。そしてアデルは幽閉中のアドニスに対して「あなたの理想を、実現して差し上げます」と申し出たが、この語を聞いた直後のアドニスの表情が恐ろし気に見えた。アデルもアドニスもアリアもイーディスも、信用できそうにない人々ばかりであると思えて来る。