社会学上のアート・ワールド論

今日の芸術論における重要な概念「アート・ワールド」といえば、もともとは哲学者アーサー・ダントーが提起したことで知られるが、社会学者ハワード・ベッカーの著書『アート・ワールド』は、制作の現場を成立させる条件の観察と分析を中心にして「アート・ワールド」概念をもっと具体性と総合性に富んだものに変えているように見える。今まさしくベッカーの著書を読んでいるが、詳細な事例を膨大に積み重ね、畳みかけていて、面白いので大いに読み進んでいるつもりであるのに、まだ三分の一も読めていない。

アート・ワールド