七瀬遙の可能性に関する島崎信長の見解

先日の映画「ハイ☆スピード!Free! Starting Days―」Blu-ray&DVD発売記念舞台挨拶ライヴヴューイングの最後にあった「Free!シリーズ」の新映像制作企画進行中の告知を受けて、今あらためて、主人公の七瀬遙を演じ続けている声優、島崎信長の見解(『映画 ハイ☆スピード! -Free! Starting Days- 公式ファンブック』54-55頁)を読み直さざるを得ない。

映画 ハイ☆スピード!』は繊細な心の動きを大切にしつつ、淡く幼い輝きが色濃く描かれていました。TVシリーズはインパクトが大きくて、一気に心に突き刺さってくるような衝撃を感じることが多かったですが、『映画 ハイ☆スピード!』は、水が沁み渡るように、心に風が吹き抜けるように彼らの心の動きをじっくり丁寧に追っていく物語でしたね。
TVシリーズは1期と2期合わせて全26話をかけて成長していきましたけど、『映画 ハイ☆スピード!』の彼らはこの一本の映画の中で心が揺れ動いて、大きく成長しているのがすごく伝わってきました。TVシリーズに比べると映画は尺としては短いですけど、その中できちんとドラマが描かれていますよね。僕は遥が高校生になった姿を知っていますけど、『映画 ハイ☆スピード!』を観て、もしかしたらこういう可能性もあったんじゃないか、というようにちょっと違う想像もしてみたりできるくらい、彼らの未来に関しては想像が広がりました。

このほかにも、七瀬遙が桐嶋夏也に対して「俺はフリーしか泳がない」と宣言してしまう場面や、坂東スイミングクラブに近い橋の上で七瀬遙が桐嶋郁弥に言葉を投げかける場面、七瀬遙が橘真琴に「なんで無理に自分を作ろうとするんだよ」と問いかける場面、七瀬遙がオーストラリアからの手紙を読み終えたあと新しい仲間たちに笑顔を向ける場面、記録会のメドレーリレーの直前に、橘真琴、桐嶋郁弥、椎名旭と並んだ七瀬遙が桐嶋夏也と芹沢尚に対して自身の今の思いを伝える場面、そして夜の岩鳶スイミングクラブで七瀬遙と橘真琴が自由に泳ぐ場面についても、島崎信長の分析や感想には一々説得力がある。
そして七瀬遙に対して「何か一言、言葉をかけてあげるとするなら?」という質問に対する島崎信長の回答が素晴らしい。

遙にはこの先も様々な出来事が待ち受けています。でも、遙には最高の仲間たちがいる。だから、僕からかける言葉は何もありません。仲間の言葉と思いが、遙を前に進ませてくれますから。

新しい映像の制作がこのような思いの上に進行してゆくのだろうことを祈らずにはいない。