仮面ライダーゴースト第四十五話

平成仮面ライダー第十七作「仮面ライダーゴースト」。
第四十五話「戦慄!消えゆく世界!」。
天空寺タケル(西銘駿)は、グレートアイとの一体化をなし遂げた眼魔界の新帝アデル(真山明大)が世界そのものと一体化するのを阻止すべく眼魔界へ潜入を試みたが、潜入先が既にアデルそのものであり、瞬時に気配を察知したアデルから指示を受けたガンマイザーによって攻撃を受けた。しかも、これに先立つ戦闘の中でアデルの身体に接触したときアデルの記憶に接した所為か、既にアデルとの間にわずかな一体化を遂げていたのだろうか。それに加えてさらに、アデルと一体化した眼魔界内の世界に潜入したことも作用したのか、今や天空寺タケルはアデルに接続された多数の人々の精神にまでもわずかな接続を強いられていると思しい。
それにしても、アデルの想い描く理想の世界、完璧な世界とは結局、全ての人々がアデルと等しくなり、アデルの一部となるような世界でしかなかったらしい。なるほど、全世界が唯一の精神によって完全に制御されるなら、どんな不協和も争いも生じ得ない。絶対の平和が永遠に維持され得る世界だろう。だが、それは何と無意味な世界だろうか。ここから考えるなら、真に有意味な平和があるとするなら、それは戦争を完全に廃棄し得た状態ではなく、むしろ絶えることのない戦争の危機を絶えず調停し、抑制し続け得ている状態を云うに相違ない。
アデルには是非とも「どくさいスイッチ」の話を読んで、考え直してもらいたい(藤子・F・不二雄大全集ドラえもん』第七巻216-231頁)。