コロコロコミックス怪盗ジョーカー第二十三巻における最高の輝く夜

小学館てんとう虫コロコロコミックス『怪盗ジョーカー』第二十三巻が発売されたので、銀天街の書店で買ってきた。
どの話もそれぞれ読み応えがある中でも特に圧倒されるのは「不死鳥と魔弾の射手」(66-126頁)。六十一頁もの大長編。ジョーカー、ハチ、ホッシーのほかに、フェニックス=赤井翼、鬼山警部、ギンコ、モモ、さらにはミスター金有までも登場して賑やかではあるが、話は驚く程にハードボイルド。なにしろ、この話に敵として登場するスナイパー幻魔は怪盗ではなく殺し屋。「世界一の殺し屋」として名を挙げるための第一歩として、裏社会にも表社会にも名を轟かせる怪盗ジョーカーを狙ってきた。
強敵に追い詰められた中でジョーカーが仕掛けたトリックは実に大胆で奇想天外で壮大だったが、反面、ジョーカーには普段のような不敵の余裕は一切なかった。なぜなら、最愛の友を失ったから。友は、出会った夜からジョーカーに憧れてきたことを明かし、ジョーカーも友への愛を叫んだ。そこからの逆転が極めてハードボイルドで、多分、敵を殺してしまっても構わないとさえ覚悟していたろう。ジョーカーに代わって、ジョーカーのために「奇跡」を起こしたのは「不死鳥」=赤井翼だった。奇跡の再会が大きな満月の光に照らされていたのは、まさしく「怪盗ジョーカー」の世界(「輝く夜」)そのもの。
シンエイ動画テレヴィアニメ「怪盗ジョーカー」制作者陣は多分この話を何としても忠実にアニメ化したいと考えているに相違ない。期待しないわけにはゆかない。