オレ流の真贋/ケータくんはいつもけだるげ/トムニャンとジェリーとセバスチャンのゲラゲラポー

ニコニコ動画の「テレビ東京あにてれちゃんねる」(http://ch.nicovideo.jp/ch7)内の「妖怪ウォッチ」公式チャンネル(http://ch.nicovideo.jp/youkai-watch)で配信された第百四十一話を視聴。
イナホとUSAピョンの話が一つ。ケータとウィスパーとジバニャンの話が二つ。
妖怪おれリュウの事件。
俺流といえば中日ドラゴンズ落合ということで、龍の姿をした妖怪。しかし、おれリュウの手の仕草はDAIGOを想起させる。確かにDAIGOの一人称は「オレ」であるし、かなり独自の道を歩んできたように見える。
クマとカンチとフミカが「オレ流」を主張していた間、驚き呆れていた木村マモルの後姿。ジバニャンは三人の奇妙な言動を見て「今日はみんなおかしいニャンね…」と云っていたが、もはや「おかしい」のが常態のようになっているとも云える。
結局、おれリュウを撃退したのはケータ母の鬼神のような怒りの力だったが、ウィスパーによれば、ケータ母が強かったからであるよりはむしろ、おれリュウの俺流というのが所詮は単なるワガママでしかなく、何の力もないから。確かにケータのみならずクマもカンチもフミカも、おれリュウの影響で優れた個性を発揮できていたとは云えない。おれリュウの力で成功したと説明されていたラーメン店主やアイドルや漫才師は多分、おれリュウに憑かれる前からもともと優れた個性を蔵していたに相違ない。
妖怪あまん汁の事件。
他人や周囲から突き付けられる条件を何でも甘んじて受け入れ、己の立場を主張しようともしない状態へ人を陥れる妖怪。ケータはジバニャンを召喚して対抗しようとしたが、あまん汁は直ぐに逃走したばかりか街中を駆け巡り、様々な悪影響を及ぼした。U.S.O.やネタバレリーナを想起させる見事な暴れ方で、久し振りに妖怪ウォッチらしい展開。そして果敢に追い詰めたケータは、無念、あまん汁に憑かれてしまった。
結果、アメリカニズムの権化のような隣人ジェリーからの理不尽な要求にもあっさり屈してケータは自身の大切な「ドリームウォッチ」(妖怪ウォッチドリーム)を明け渡してしまった。ウィスパーによればケータが主人公であることの証はドリームウォッチの所持者であるという事実にあり、明け渡してしまうことは主人公の座をジェリーに明け渡してしまうに等しい。しかるに、あまん汁に憑かれたままのケータはそのことを甘んじて受け入れた。まるで「ケータくんはいつもけだるげ」状態。「田中くんはいつもけだるげ」の主人公のように、どんどん存在感を消して自ら背景に埋没してみせた。
これに乗じて完璧妖怪セバスチャンが現れ、ジェリーの妖怪執事の座を獲得。トムニャンとジェリーとセバスチャンがジバニャンとケータとウィスパーになり代わって往年の主題歌「ゲラゲラポーのうた」を踊るという酷い結末。ジェリーとセバスチャンが往年のケータとウィスパーの動作を再現していたのが素晴らしかった。ジェリーの動作の一部は、ケータよりはケータ父に近かったろうか。
激写!不思議マガジン「ヌー」第二回。
矢良瀬古里無(やらせ・こりない)の新たな標的はディノサウロイド。矢良瀬古里無はヤラセを止めているのに、イナホが妖怪を呼び集めてヤラセを仕掛ける展開。
しかしイナホは一体どのようにして妖怪を呼び集めているのか。召喚の場面はない。そもそも妖怪メダルを有しているのかどうかも定かではない。イナホの話に登場する妖怪は視聴者には馴染みの顔ではあるが、それはケータの話に出てきたことがあるから。ケータが遭遇し、対決し、退治したり和解したりして妖怪メダルを獲得し、友達妖怪にしてきたからこそ馴染みの顔となった妖怪たちであるのに、その場には居合わせたこともないはずのイナホはどういうわけか当たり前のように最初からどんな妖怪をも友達妖怪にし得ている。妖怪ウォッチとは何だろうか?ということをさえも考えさせてしまうのがイナホの物語。昔は全く面白くなかったイナホの物語も最近は面白くなってきてはいるが、それでも初歩の疑問が消えることはない。